通勤電車で読む『ももクロの美学』。くだらない。

学生の卒論がらみでこれも買ってみた。非常勤先最寄りの書店で。それで帰りの電車で読みかけて、あとは下宿で読んだけれど、まぁくだらない。『前田敦子はキリストを超えた』もたいがいくだらなかった(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20130520#p1)けれど、あれはまだ自分の恥ずかしい性癖を露呈するぞという自覚と決意が多少はあったのだなあと、まぁわかるのであって、こっちの本はまったく御託を並べてるだけでしかもページ数が無駄に多いので目を通し終わるのに物理的に難渋した。あとまぁ、ひとつにはこのての本だと、書き手の趣味なりそのジャンルでの教養なりセンスなりというものがダサいとおはなしにならないわけで、たとえばアイドル歌手は歌がちょっとぐらい下手なほうが魅力だみたいな話の例として「ちょっと古いが浅田美代子」などと言ってしまう50歳代の東京大学准教授は一発退場なのである。あとこれは『前田敦子』でもたいがいそうだったのだけれど、御託を並べるときの理屈付けのセンスももちろん問われるわけで、たとえば「これはヘーゲルの用語でいうと対自ではなく即自」などと下手くそなことを書いているとこれまた退場もので、こまったことにそのへんの理屈のセンスがないということになると本業の美学のほうの評価のほうで差し支えてしまうのではないかと他人事ながら心配にもなる。
これは幸いベストセラーにはならないだろうから学生が卒論の参考文献にあげなくても許されるんじゃないか。