『舞妓と暗殺者』みた。高田美和が魅力的。

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白黒のかっちりとした画面で、画面外から主人公の内面の独白がナレーションで語られて回想に入る冒頭、いきなりフィルムノワールのパターンがちらっとでてくる。若き日の津川雅彦が幕末の、長州から出てきた倒幕の志士、ていうか田舎の貧乏下級武士の次男坊なもんで、志っていうよりも田舎の貧乏下級武士の暮らしの閉塞に耐えられずに脱藩して、ひとはたあげるために倒幕の同志に加わったといったかんじ。ところでこの映画、幕末が舞台といいつつ、言葉遣いなんか見ると、むしろ昭和38年現在の感覚で描かれている。倒幕の志士はそのまま学生運動セクトというかんじ。津川だけ貧しい工員で、あとはブルジョワの大学生の次男坊三男坊、みたいなかんじ、で、リーダーが少し年長で、頼りになるかと思いきや、討幕側の政治勢力に取り入って運動費をもらい、革命の暁には自分だけ地位を約束されていたりして、テロリズムの現場からはこっそりと真っ先に仲間を捨てて逃げるやら、そのわりに自分は指導者の立場だからと偉そうな理屈を叩いたり、まぁゲスくてキモい男、そうなんですよ川崎さんでおなじみの山本耕一。で、ひょんなことから津川雅彦の命を守ったのが、まだ17歳の可憐な舞妓の高田美和。これまた西陣の貧しい機織りの娘で父親の薬代のために金で買われて舞妓になった身。なんやかんやで津川雅彦と惹かれ合って、おたがい貧しい身の上ながら倒幕の暁には貧乏人も幸せになれると希望など語り合う。ところがこの高田美和の舞妓、ひな菊に山本耕一リーダーが目をつけて、金と力(長州の偉い人に顔が利く的な立場)でもって自分のものにしようとするわけで、高田美和が津川雅彦と思い合っていると知ってなお、高田美和を指名して、「私はお前を征服することで壁を打ち破り、幕府を倒すのだ」みたいなよくわからん偉そうな(学生運動の闘士の偉いやつってこんなかんじだったんだろうなってかんじの)口ぶりで迫り、またそういうカッコ悪いところを見られてしまった津川雅彦のことは、あれこれ手をまわして消そうとしたりして、まぁ山本リーダー、ゲスくてキモいことおびただしい、まったく学生運動の闘士の偉いやつなんてろくでもないもんだな、という印象。そんななか、とにかく高田美和の舞妓、ひな菊が、まっすぐな瞳で魅力的。津川雅彦に「好きどす、好きどす」とか言うわけである。