『人形佐七捕物帖 妖艶六死美人』みた。横溝正史の捕物帖。美人が次々に惨殺されるけど見分けがつかないのが難である。

人形佐七、というのは横溝正史が原作なのだね、というところからの出発で、なにもわからずに見るわけだけれど、言われてみれば連続殺人の猟奇事件で、これはいかにも横溝正史。なにか悪そうなパトロンが6人の美人を囲って、その背中に本人似顔の美人絵を刺青で彫ってずらりと並べて見せびらかす趣向、とか、そういう趣味の悪いことをやってますと。そんなこんなでいろいろあって、その6人の美人が一人ずつ、予告殺人されていくわけで、そうするとなにしろ殺されたシーンでは、やはりお約束として着物をはだけて背中の美人絵の彫物を見せないといけないわけで、そのへんが猟奇趣味なわけだけれど、当時の新東宝の女優陣についてさっぱり知らないのでわからないけれど、そういうエロな猟奇場面オッケーな女優さんたちが6人次々と殺されても(まぁ、一人一人の最期の姿にそれぞれいくらか趣向があるようには見えるところはいかにも横溝正史なのだけれど)、いまいち印象に残らない、っていうのはあるかも。ていうかまぁ、エロ役の死美人たちに限らず、可憐なヒロインの役の女優さんも、人形佐七の奥さん役の女優さんも、要するにいまいち見分けがつかない。佐七が若山富三郎で、謎の浪人が天知茂、これは見分けがついたわけで、これはやはりたいしたものだし、若き日の若山富三郎が目張りパッチリの二枚目役なのが、不思議といえば不思議。