このところ読んでいた『光の国』。めざせ奇書なかんじの「リゾーム群書1」だった本。

ながねん手に入らず、一年前ぐらいに新版の刊行予告を見かけたけれど(ていうかこれ10年も前じゃないか→ http://urag.exblog.jp/2126655/)そのご音沙汰がなく、なんとなく「権利関係の具合でもう出せない」みたいな話も見かけ、そうするとなんとなく内容の想像もつきそうだったようなかんじではあったのだけれど、ある日、えいやと入手。このところ枕元においてときどき読んでいた、というかなんというか。
で、想像通り、いろいろなテキストの引用が錯綜していて、まぁ権利関係めんどくさいだろうなというのはわかるわけで、こういうのがいかにも80年代で「リゾーム群書」の第一弾として出された感じだったわけである、そしてそういうポジションに著者はいたわけで、そしてその「リゾーム群書」はこの本だけで後が出なかったわけなので、まぁそれも含めそういうポジションにいたわけなのだな。
で、読んでわかったかというと、まずそれいぜんにこの本をどう読むかがむつかしくて、いかにも80年代のそれっぽいレイアウトで(もちろん装丁は戸田ツトム)、いろんな大きさのフォントで本文や引用が並んだり、たまに二段組になったりしているというのがまずあって、さらに上下の欄外に註みたいな小さい字でいろいろ文章が書いてあるので − まぁだからそういう、異質なものの組み込みみたいな、リニアじゃないテキストがたぶん「リゾーム」っぽいとされていたわけで − 、さいしょから「全部を読み通す」ことは放棄していたのだけれど、まぁそれでも最初のページからお経を読むように目を通していき、読み終わった。で、そうそう、読んでわかったかというと、という話ですけど、まぁお経だと思えばありがたかったというか、この本じたいがどうのこうのというより、後年の著者の文章の中に出てくる話の原型らしきものが多かった気がするわけで、読んでわかる的なことでいえば後年の本を読むほうが、すっきりわかりやすいしおもしろいという気がするけれど、この本のありがたみというのはやはりあって、やはりこういう、めざせ奇書、というかんじの本というのは、やはりいまどきないような気がして、やはりそれはありがたいとおもう。