摘便とお花見: 看護の語りの現象学 (シリーズ ケアをひらく)
- 作者: 村上靖彦
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2013/07/29
- メディア: 単行本
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で、インタビューは4人の看護師さんに対するもので、ひとり2章ずつというあんばい。基本、だらだらと構造化されてないインタビューを行って、それを分析する、という。で、インタビューから何を読み取っているかというと、語りを構成する言葉の配置とか、この語りがいろいろなエピソードをどんな二項対立で分節してるかとか、どのような「時間性」が語られているかとか、そういうことで、なるほど「語りの現象学」というかんじはある(方法論に関する付章の註で、エスノメソドロジーに近いとか言っている)。
でまぁやっぱり、出てくる4人の看護師さんたちがみんな「死」に近いところで看護をやっている人たちだったりして(ターミナルケアみたいな?)、話題もつごう「死」のほうに引きずられて、それでハイデガーとかたとえば出てくると、なんかやれやれだな、と思ったりもして、もうちょっと歯医者さんとか眼医者さんとか、美容整形とかまぁなんでもいいけど、まぁ町のふつうの内科小児科の医院でもいいわけで、ようするに「死」と直接あんましかんけいないところでの看護のはなしだってあるだろうし、そういうところでなおフッとよぎる「死」の影、みたいなほうが、「看護ってそうなのか」と思うんじゃないかなとおもうのに、ちょっとそのへんは内容主義的なかんじがした。
以前、卒論でナースのインタビューをやってた学生(以前ここ(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20150512#p1)で、「けっこうがっつりしたインタビューをした学生さん」として言及した学生さん)が書いてたときに、もしこの本があったら、勧めてただろうなと思う。