『白鵬伝』面白かった。

白鵬伝

白鵬伝

れいによってHONZ『白鵬伝』矛盾の大きさが示す破格の器量 - HONZ)で見かけて面白そうだったんで読んだら面白かった。白鵬にずっとインタビューしているジャーナリストの人が著者で、そのインタビューをもとに、白鵬の相撲人生みたいなのであるとか心境であるとか、そういうのを描いたりもするわけだけれど、同時に、たくさんの取り組みを(ビデオを見ながら、ときには白鵬自身の自戦解説も交えながら)細かく、両者の動きのひとつひとつを言葉で再現しているところ、とくに、69連勝の記録に挑みつつ敗れた稀勢の里戦については、実際には19秒の取り組みだったのだけれどじつは3.4秒の時点で「ここで、もう勝負は終わってるね。はい。」というのが白鵬じしんの言葉で、それを説明するように立ち合いから1.7秒、2.2秒、2.7秒、2.9秒そして3.4秒、という具合に超スローモーションでひとつひとつの動きを再生している。で、なるほどそのように説明されるとそのように見えてきて、そのあとの15秒ぐらいの動きの説明もあわせてなるほどあの時点で勝負あっただったのだなと見える、そういうのがおもしろい。でまぁ、そういう、「3秒で決まる競技」としての相撲の勝負の、技術論であったり考え方であったり、あるいは大横綱となった白鵬の「奥義」ともいえそうなあれこれについても、書いてあって、なるほど非常に面白かった。
ちなみに、自分は2004年の時点で「白鵬くん」について「「遅れてきた相撲界の渋谷系」というのはどうだろう」とか評していた(「白鵬」の検索結果 - クリッピングとメモ)。