通勤電車で読みかけて寝床で読み上げた『経済学は役に立ちますか?』。竹中×大竹の対談本。

経済学は役に立ちますか?

経済学は役に立ちますか?

れいによってTwitterで見かけて、なんか竹中があれこれ言ってるのに対して大竹がひとつひとつ正しい経済学の知見で応じている本だよ、今こそ読むべき、みたいな感想を見たんで、そうなのか、どんなふうなのかと思ってみてみたら、竹中も大竹も見分けつかなかった。竹中路線、というのがあるとして、まぁ経済学なんか知らない素人的にいって、それは悪い意味で経済学主義っぽいなあと思っていて、しかしその悪い意味の経済学主義に対して行動経済学を置いたところで何かがよくなったような気がしないって言うか、どうも行動経済学というのに、じぶんはそもそも、悪い意味での経済学主義+俗流会心理、みたいなよからぬ偏見をいだいているわけで、どうもこの本はあまり乗れなかった。
大学生の奨学金の話が出てきて、給付型奨学金を増やすべし、みたいな世論に対して、竹中が反論していわく、大学で勉強するのは投資みたいなもんで、収益率はだいたい6%ぐらいであって非常に高い、投資効率のいい投資だよ、そしてもし奨学金返済に失敗するような者がいたとしても、それは企業が設備投資に失敗したようなもので、設備投資に失敗して破綻した企業なんかへたに救済せずに即刻退場させることこそが経済学的に正しいのと同様、奨学金返済に失敗するような者は救済すべきでない、自己責任である、セーフティーネットというのは必要最低限の生活が営めることを保証するもので、大学教育はその範囲ではない、云々、と。そして、給付型奨学金にすると、大学生は勉強しなくなる、逆のインセンティブが働くようになるぞ、と。まぁそういう物言いをされると、えー?と思うわけだけれど、それに答えて大竹いわく、奨学金が返せるか返せないかはケースバイケースだし自己責任と単純にいえない場合もあるよ、等々、まぁあまり反論になっていないことをごしゃごしゃ言ったり、若者と老人は時間割引率が高いつまり将来より今よければいいという傾向があるみたいなすばらしい行動経済学を披露したり、あと流行のマシュマロテストのはなし、そして、先のことを考えない・我慢ができないタイプの人物像が、夏休みの宿題を最後にやるタイプと重なって、仕事をだらだらして残業ばかりして長時間労働になるタイプに重ねられるというこれまたすばらしい行動経済学もあったりして、まぁそのへんの議論はあんまりぴんとこないみたい。まぁ、うちの学生さんを見てると、インセンティブによって勉強したりしなかったりというのもあるかもしれないけれど、学費や生活費をアルバイトで稼がないといけなくて時間がないとか、パソコンや本を買うお金もケチるとか、まぁそれが先のことを考えてないからというところもありそうなきもしなくもないにせよ、まぁじっさいに先立つものがないっていうのもあるだろうなあと思うわけで、まぁそのへんを全部自己責任と切って捨てれば話は早いし、まぁマシュマロを我慢できなかった三つ子の魂百までなのだから、因果応報なのだといわれればすみませんすみませんという気にもなるにせよ、まぁしかし、そういうのはやはり悪い意味で経済学だなあというのがピュアな感想。