- 作者: 竹中平蔵,大竹文雄
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2018/01/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大学生の奨学金の話が出てきて、給付型奨学金を増やすべし、みたいな世論に対して、竹中が反論していわく、大学で勉強するのは投資みたいなもんで、収益率はだいたい6%ぐらいであって非常に高い、投資効率のいい投資だよ、そしてもし奨学金返済に失敗するような者がいたとしても、それは企業が設備投資に失敗したようなもので、設備投資に失敗して破綻した企業なんかへたに救済せずに即刻退場させることこそが経済学的に正しいのと同様、奨学金返済に失敗するような者は救済すべきでない、自己責任である、セーフティーネットというのは必要最低限の生活が営めることを保証するもので、大学教育はその範囲ではない、云々、と。そして、給付型奨学金にすると、大学生は勉強しなくなる、逆のインセンティブが働くようになるぞ、と。まぁそういう物言いをされると、えー?と思うわけだけれど、それに答えて大竹いわく、奨学金が返せるか返せないかはケースバイケースだし自己責任と単純にいえない場合もあるよ、等々、まぁあまり反論になっていないことをごしゃごしゃ言ったり、若者と老人は時間割引率が高いつまり将来より今よければいいという傾向があるみたいなすばらしい行動経済学を披露したり、あと流行のマシュマロテストのはなし、そして、先のことを考えない・我慢ができないタイプの人物像が、夏休みの宿題を最後にやるタイプと重なって、仕事をだらだらして残業ばかりして長時間労働になるタイプに重ねられるというこれまたすばらしい行動経済学もあったりして、まぁそのへんの議論はあんまりぴんとこないみたい。まぁ、うちの学生さんを見てると、インセンティブによって勉強したりしなかったりというのもあるかもしれないけれど、学費や生活費をアルバイトで稼がないといけなくて時間がないとか、パソコンや本を買うお金もケチるとか、まぁそれが先のことを考えてないからというところもありそうなきもしなくもないにせよ、まぁじっさいに先立つものがないっていうのもあるだろうなあと思うわけで、まぁそのへんを全部自己責任と切って捨てれば話は早いし、まぁマシュマロを我慢できなかった三つ子の魂百までなのだから、因果応報なのだといわれればすみませんすみませんという気にもなるにせよ、まぁしかし、そういうのはやはり悪い意味で経済学だなあというのがピュアな感想。