日本で学ぶブラジルの子ら支援

「ニュース 奈良ボランティアネット」より
http://www.nvn.pref.nara.jp/news.php?4695

日本で学ぶブラジルの子ら支援 −講師−玉田エミリアさん

 ブラジル生まれの玉田エミリアさんは日系二世。橿原、香芝両市、河合町の小学校でポルトガル語の通訳として働く。「ならNPOプラザ」が派遣、国際理解教育の講師として引っ張りだこだ。
 日系ブラジル人の子どもたちの母語教室で教えたり、家庭と学校との意思疎通、医療通訳にもかかわる。「たとえばブラジルには運動会がない。ポルトガル語圏から来て日本の運動会を迎える子どもには、練習から付き添う。大勢の動きの中で取り残されて、パニックになり、通学できなくなることもある」と話す。
 両親は奈良出身。「我が家で日本といえば奈良のこと。茶がゆや煮物を食べて育った」。心理学を学び、企業でメンタルトレーニングに携わったが、12年前に家族とともに奈良へ。子育てが一段落して、ポルトガル語圏から日本へ来た人々の支援活動を始めた。
 国際理解教育では、小学1年生を対象にすることもある。ブラジルの写真を見せて、肌や髪の色、生活文化の違う人々が暮らす様子を伝える。「幼い子が、見慣れない人を『怖い』と思う気持ちは自然なもの。それが拒絶や差別へとつながらないように」と玉田さん。ピラニアのはく製や、美しいザリガニやチョウの絵、アニメーションビデオを見たり、簡単なポルトガル語でゲームをするなど、内容はもりだくさんだ。
 ブラジルの小学校に入学した時、ポルトガル語はほとんど話せなかった。だが「日本人だからといじめられた覚えはない。楽しかった」と振り返る。だからブラジルかた来た子どもたちが、言葉や習慣の違いに戸惑い、時には学校に行けないほどの悩みを抱えているのを見ると胸が痛む。「文化や言葉の違う人同士のつながりは、互いに理解があれば素晴らしい交流になる。だが、ちょっとした行き違いが差別や偏見につながる。そこを何とかしたい」と話す。【松本博子 記者】 
 (提供 毎日新聞 11月12日)