児童虐待とジャンボ宝くじ。

試験の採点をしている。
家族論なので、答案には「児童虐待」の話がよくでてくる。
「現代の家族の問題としては児童虐待が挙げられる。現代社会では、親が子どもを虐待して殺してしまうことがよくある。」みたいな。
おりしも、そういうニュースが報道された。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20050204/mng_____sya_____001.shtml

昨年の児童虐待、最多の229件 死亡は51人
 
 昨年一年間の子どもの虐待は摘発件数・人数、被害者数のいずれもが統計を取り始めた一九九九年以降で最多を記録したことが三日、警察庁のまとめで分かった。虐待で死亡した十八歳未満の子どもは前年比二割増の五十一人に達した。児童虐待防止法の施行(二〇〇〇年十一月)にもかかわらず、大人による子どもへの暴力は拡大傾向をたどっている。

 昨年一年間の子どもの虐待の摘発件数は前年比45・9%増の二百二十九件。摘発人数は同38・3%増の二百五十三人(七十人増)。このうち実父が八十一人、実母が七十二人で、全体の六割が実の親だった。

 被害者数は、前年より七十三人増の二百三十九人。一歳未満が四十二人と圧倒的に多く、六歳以下の幼児で五割強を占めた。身体的虐待や性的虐待のほか、食事を与えなかったり放置したりするなど「怠慢または拒否」による被害を受けた。

 死亡した子どもは、前年より九人多い五十一人で、二〇〇一年の六十一人に次いだ。傷害致死の被害者が二十二人で最も多く、殺人が十九人で続いた。

 また、二十歳未満の少年が被害者となった昨年の刑法犯認知件数は、前年比7・5%減の三十五万六千六百七十五件。その中で未就学児童の被害だけは六百七十件で、前年より二割近く増加。殺人や傷害などの被害増加が目立ち、暴力の標的が低年齢化していることをうかがわせた。

 子どもの虐待では、大阪府岸和田市で昨年一月、中学三年の男子を餓死寸前まで虐待したとして、実父と同居の女が殺人未遂容疑で逮捕された。同年九月には、栃木県小山市で男が同居していた友人の四歳と三歳の子ども二人に暴行を加えていたことが発覚するのを恐れ、川に投げ込んで殺害した事件が起きた。


ためいきをつきながら、
明るい話題を探そうと思って、宝くじの話。

グリーンジャンボ宝くじ」(第488回全国自治宝くじ
〜2005年日本国際博覧会愛・地球博)協賛〜
2月14日(月)、全国一斉発売開始!
  ☆1等・前後賞合わせて2億円!

(1等1億5,000万円×38本、前後賞各2,500万円)
☆「愛・地球博賞」30万円が3,800本!

 平成17年最初のジャンボ宝くじグリーンジャンボ宝くじ」(第488回全国自治宝くじ)が、2月14日(月)から全国で一斉に発売されます。

 今年の「グリーンジャンボ宝くじ」は、1等が1億5,000万円、前後賞が各2,500万円で、仮に連番で買って1等に当せんした場合、1等・前後賞合わせて2億円が当たる、豪華賞金が魅力の宝くじです。当せん本数は、1等が38本、前後賞が76本となっています。また、続く2等は1,000万円で、本数は1等と同じ38本、3等100万円は380本設けられています。


ことしの「グリーンジャンボ宝くじ」で1等賞があたって1億5000万円とか、2億円とかあたる人が、38人。2等の1000万円があたる人も38人で、3等の100万円があたる人が380人、と。
ちなみに、「ジャンボ宝くじ」というのは、1年間のうちに「グリーン」「ドリーム」「サマー」「オータム」「年末」の5回あるのだそうだ(私は宝くじを買わない人なのでよくしらない)

児童虐待を受ける人数と、「ジャンボ宝くじ」で1等賞をもらう人数を比べる、というのは不謹慎なのだが、
また、数字の取り方によってデータが大幅に揺れるだろうことも本当はあるのだけれど、
しかしやはり、宝くじで毎年うまれる「億万長者」(←というのも古いね)のほうが、児童虐待の被害人数より、すくなくとも公表された数字で言うならば、多いし、
たぶん、その人数(当せん本数)や程度(当せん金額)が「近年急増している」割合だって、児童虐待と比較するならば、大きいんじゃないか。

もちろん、虐待はいかんのである。
いかんのであるが、しかし、学生の答案を見ていると、ついつい、
「じゃあきみは、ジャンボ宝くじで2億円当たった人のニュースを聞いたことがあるのか?」みたいに聞き返したくなる。
学生さんたちの頭の中にある「児童虐待深刻化社会」みたいなイメージは、どういうしくみでこんなに確固としたものとして普及しているのだろう?