学校選択口コミ頼み 導入は1割超す ベネッセ調査

これはたぶんべつの調査かな。朝日の記事。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200504180182.html

学校選択口コミ頼み 導入は1割超す ベネッセ調査
2005年04月18日16時52分
 
 学校選択制を活用する親が、説明会など学校側から示される情報より、親同士の会話や地域の評判を頼りに学校を選ぶ傾向にあることが、ベネッセ未来教育センターの調査でわかった。学校選択制は00年度の東京都品川区を手始めに、導入自治体は全国の約1割に増えた。しかし、制度導入後、学校ごとの特色づくりが期待通りに進まず、学校の活性化という目的も達成できていないという専門家の声もある。

 調査は昨年2月、学校選択制を実施している都内の二つの区にある11の公立小学校に通う児童の保護者561人を対象に実施した。

 保護者らが学校を選んだ際に「とても役立った」と感じた情報源は、「親同士の情報交換・評判」、「地域の評判や在校生の過ごし方」の順で、公式情報である「学校説明会」、「学校や教育委員会の配付資料」を上回り、多くの親が評判や口コミという情報に頼っていた=グラフ上参照。

 中学を選ぶ際に「とても重視した」のは、「いじめや不登校の生徒が少ない」(45.5%)、「生活指導やしつけがしっかりしている」(44.8%)、「学校がよい地域にある」(31.9%)などが多かった=グラフ下参照。

 逆に、「国語、数学、英語などの学力が高い」は15.3%、「放課後や夏休みなどに補習や学習会がある」は9.8%にとどまり、校区外の公立中学をめざす保護者は「学力」よりも、「いじめ」や「しつけ」を重視していた。

 文部科学省の昨年11月の調査で、区域内に2校以上ある1448自治体のうち、学校選択制を実施しているのは161自治体で11.1%。都道府県別では、26自治体が実施している東京都がトップで、埼玉(19自治体)、鹿児島(8自治体)、千葉・神奈川・和歌山(6自治体)、茨城・愛知・広島(5自治体)の順だった。今年度から政令指定市としては初めて広島市が導入するなど、導入する自治体は増えている。

 調査を監修した東京成徳大学深谷昌志教授は人気校と不人気校の実態を聞きに行った。人気校の共通点は近くにしゃれた商店街や高級住宅街があることだと気づいた。「各学校の特色に差がないため、親たちは結局、地域のイメージで学校を選んでいるのではないか。保護者の希望をかなえて学校を活性化するという制度の目的を達成するには、教員を集める人事権や、自由に使える財源を学校に与えたらいい。校長に特色ある学校作りをさせる権限と責任を与えるべきだ」と話す。

◆人気校 会議室を教室転用

 学校選択制で人気が集まり、教室のやり繰りや校区変更のあおりを受ける学校もある。

 02年度に選択制を導入した東京都杉並区。区立高井戸中学校は、生徒数476人のうち、2割を超える約110人が校区外から通っている。

 1年D組の教室は後方にシンクがあり、前方には大きな棚がある。以前は会議室だった。「西日がきつい部屋だが、毎年1年生の1クラスは我慢してもらっています」。春田康雄校長は話した。

 校区外からの受け入れ数が1学年で約40人だが、毎年約70人が入学を希望する。

 人気の理由の一つが、98年に建て替えられた明るく開放的な校舎だ。多目的スペースにはソファが置かれている。区立図書館も併設され、公園や運動場に囲まれている。

 しかし、会議室のほかに、美術室を教室に転用。美術はプレハブ校舎で授業をしている。学年によっては1クラスの生徒数が40人にまで膨れた。

 区教委は「高井戸中に通わせたい保護者の気持ちもわかるが、教室に大勢詰め込むわけにもいかない」として、05年度から同中が校区外枠を30人に絞った。さらに昨年10月、同中の本来の校区を狭くすることも含めた改善策の検討を始めた。

 これに対し、現在校区内に住む親たちは「校区外から生徒を受け入れるのをやめるべきだ」などと反発している。区教委の担当者は「校区外からの生徒をゼロにすれば校区を変更しなくて済むが、それでは学校選択制の否定になってしまう」と話した。

 同区の学校関係者は話す。「本来なら、学校選択制を導入する前に、設備など各校のハード面をそろえておくべきだった」