自宅兼大学院の申請…事務室は広間、学長室は6畳和室

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20051122ur21.htm

理事長の自宅2階部分を校舎にあてるという、過去に例のない大学院の設置認可が文部科学省に申請され、論議を呼んでいる。

 申請したのは、構造改革特区による施設要件の緩和措置を受けて設立準備を進めているインターネット大学院。大学院側は「教育内容で勝負」と来春の開校を目指すが、文科省などからは「これを大学院と呼んでいいものか……」と戸惑う声も聞かれる。

 わずか62平方メートルの大学院は、ネット時代の新しい大学の先駆けとなるのか、申請が退けられるのか――。審査結果は今月中に出る見通しだ。

 この大学院は長野市の私立「旭インターネット大学院大学」。長野市が認定を受けた「インターネットアカデミック特区」を使い、同大学院の設立準備委員会(酒井雅会長)が今年6月に設置認可を申請した。

 修士課程と博士課程の「数理情報学専攻」で計70人の定員を予定しており、「ITの知識や技能に秀でた人材育成」(酒井会長)に力を入れる方針。学生はネット上でテキストにアクセスして学び、試験もネット上で行う。すでに専任教員8人を確保し、学生の質問にはメールや掲示板で答えるシステムだ。開校が認められれば、経済産業省出身の酒井会長が学校法人の理事長に、信州大でネット教育を実践してきた中村八束・工学部教授が学長に就任する。

 設備については、特区の特例で研究室や図書館、実験室などの設置は免除されたが、大学設置基準で事務室と会議室、学長室は必要になる。このため大学院側は当初、市街地のビルを借りる契約を結んだが、費用面で断念。急きょ長野市内にある酒井会長の自宅の2階を校舎に転用することを決め、2階の広間を事務室と会議室、6畳の和室を学長室として申請した。開校が認められた場合でも、1階部分は引き続き酒井会長の居住空間となる。

 9月末、文科省職員や、申請を審査する大学設置・学校法人審議会のメンバーが実地審査に訪れたが、前代未聞の“自宅大学院”に、「ネットで授業を行うとはいえ、これで大丈夫なのか」「実態は普通の家ではないか」と不安視する声も出たという。

 文科省によると、通信教育を行っている大学院は現在、全国に19校あるが、いずれも専用の施設を持っており、学生への対面指導もとり入れている。

 酒井会長は「自宅を校舎にすることで初期投資が安く済み、入学金や学費は国立大並みに抑えられる。最初は『寺子屋』からのスタートで十分」と主張。一方、文科省大学設置室は「設置認可の審査中であり、個別案件へのコメントは控えたい」としている。

(2005年11月22日 読売新聞)

まぁ理系のことはよくわからない。
文系ならおはなしにならないだろう。通信教育にしても、一番重要なところはやはり対面で指導しないと教育にならんだろうと思う。
えー、教室や研究室がなくて理事長の私宅だけ、というのが、セクハラの温床になるんじゃないか、という誰もの頭をよぎる危惧については、私は理科系のことはよく知らないのでわかりません。