最初の、雪山をアリの行列のようになって越えていくとこを上から下から写したシーンはかっこよくて、そこからきゅうに
張りぼてみたいな断崖を
チャップリンがひょこひょこ歩いて登場したところはかなり好感。熊があとからついてくるというギャグはこの時点ではちょっとなげっぱなし気味ではあるものの、投げっぱなしなところがのんびりと楽しくはある。あと、山小屋でむくむくの犬の身に何かあったのだと、観客と同時に直感した
チャップリンが小屋を飛び出すところ。その他、楽しいところはいろいろあるのだけれど、まぁ、この映画はメロドラマ。そのへんは、実は、作りすぎっていうか筆が足らないっていうか、
チャップリンの淋しそうな顔とか、窓の外からパーティの様子をそっと覗くとか、勘違い(これまた観客といっしょに)をして悲しく張り切るとか、そういうあざとい見せ場ばかり作りつつ、客がそれに乗って見るか引いて見るかで勝負が決まり、みたいなところはある。むしろ、過酷な山小屋でチャーリーと苦楽を共にし、記憶喪失で雪山を彷徨ったあげくにチャーリーと再会し、金鉱の場所を思い出して二人で億万長者になったという大男とのあからさまに同性愛的な関係(眠ったら襲われるんで眠れない、みたいな描写もあったし)の方がメロドラマの描写として納得いきそうになる。
チャップリンがどのぐらいそのつもりで作っていたかどうかはともかく。