<元ひきこもり>体験生かし克服支援、千葉に4月開校

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060306-00000010-mai-soci

ひきこもりから立ち直った青年の主導で千葉県市川市入船に4月、ひきこもりや不登校の克服を目指す学校「LINEL(ライネル)」が開校する。自らの体験を生かした独自のプログラムで若者たちの社会生活力を養う。通信制高校技能連携校として県教委も認可し、高校卒業資格も得られることになった。ひきこもり経験者の学校開設は極めて珍しい。
 ライネルは3年制で、1学年13人の入学者を予定している。ひきこもりの若者を支援するNPO法人ニュースタート事務局」が運営し、学校づくりは同NPOの浅野純一さん(29)が主導した。
 浅野さんは00年に大学を卒業後、故郷の群馬県で塾講師をしていたが、休日は月1回、睡眠3時間という生活に心身をすり減らし、02年6月に退職。「次へ踏み出すのが怖い」と自宅にひきこもるようになった。
 その後の約1年半で外に出たのは4回だけ。親から相談された同NPOのスタッフが自宅に寝泊まりして浅野さんと付き合い、浅野さんは2年かかって以前の自分を取り戻した。それから同NPOで働くようになった。
 昨年、10代のひきこもり女性から「調理師になりたいが、高卒資格がないので専門学校に行けない」と悩みを打ち明けられ、自分と同じ立場の若者を助ける学校の設立を思い立った。県教委を説得し、北海道に本部がある通信制の星槎(せいさ)国際高校と交渉して技能連携校の認可も取った。開校後は教務部スタッフとして生徒たちの面倒をみる。
 ライネルではまず入学希望者の自宅にスタッフが出向き、一緒に遊んだりしながら外出を促す。入学後は高齢者のデイサービスや保育園での幼児の世話、海外学習などで社会経験を積ませる。学費は年70〜80万円。
 浅野さんは「ひきこもりの人は何か立ち直りのきっかけをつかもうともがいている。ここをきっかけの場にしたい」という。浅野さんらの活動を知った田口教育研究所(東京都)の田口正敏所長も「ひきこもり経験者が克服のためのノウハウを伝授するのは有意義」と話す。
 ライネルは18、19日に入学説明会を開く。問い合わせはライネル(047・396・2834)へ。【森禎行】
毎日新聞) - 3月6日3時6分更新

うーん。ねえ。
こういう、クライアントがサービス提供側になる、というのは、お話としてはよく聞くのだけれど、
うまくいくかどうかというと微妙かなあ。悲観的すぎるかしらん?
つまり、
クライアントの目から見れば、サービス提供側のスタッフというのは、自分の理想を投影する相手でもあり、そうなりたい立場、ということに、おうおうにして、なる。
ただ、突き放した言い方をすれば、スタッフに自己を同一化してスタッフになりたいと願うことじたいが、症候のひとつの現れであるわけで、ねえ。
だから、クライアントはしばしば、サービス提供側になりたいという願望を口にするけれど、それがうまくいくかどうかというと、またべつもんだいだとおもう。

浅野さんらの活動を知った田口教育研究所(東京都)の田口正敏所長も「ひきこもり経験者が克服のためのノウハウを伝授するのは有意義」と話す。

なんてまぁ、気楽に言う(し、まさにこの台詞を、スタッフになりがるクライアントは必ず言うわけだから、それにこの田口という人はお墨付きを与えることになってもいる)のだけれど、ねえ、そんなノウハウが簡単にあるのならくろうはないんで、
たとえばこの記事を見る限り、この浅野さんという人は、もともと学習塾のスタッフをやっていたわけで、それがどういう理由でか(塾側の問題か、本人の要領が悪かったのかわからないけれど)やめることになった、で、たぶんそれをきっかけにひきこもりになった、というのだから、反応性のうつ状態、かなんかようわからんがそういう見立てができそう。で、そういうケースと、そのほかのひきこもりの人たち(いろんな原因や状態でそうなってる人たち)とを全部いっしょくたにはもちろんできないわけで、
ノウハウなんて簡単に一般化できないのに、
「自分が経験者だからクライアントの気持ちは自分がいちばんわかる」みたいなことをですねえ、
言う人がですねえ、いてはるわけですね。それはやはり、あぶなっかしいとおもう。
まぁ、私の経験上のバイアスと言うのがあるので、
この学校というのは、塾スタッフ経験者のノウハウが生かされてあんがいうまく行くかもしれんね。
まぁあれですね、
上野千鶴子『当事者主権』(岩波新書)などというのもあったしね。
厳しい道を厭わず行く、ということでいいのかもしれんけどねえ。覚悟していけばねえ。