教育ルネサンス エリート養成(1)「リーダー」国挙げ育成

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20060401us41.htm?from=yoltop

国内では批判もある「エリート教育」は、本当にタブーなのか。

 底冷えのする韓国ソウルから車で2時間半。江原道にある私立高校「民族史観高校」は東京ドーム27個分のキャンパスを持ち、校舎まで続く道の傍らには15基の台座が並ぶ。卒業生からノーベル賞受賞者が出た場合に銅像を建てるためだ。

 韓国を代表するエリート養成校として知られ、ホテルのような12階建ての寮のほか、国際人として困らないためにゴルフ練習場もある。授業は国語と歴史以外、すべて英語だ。

 「各界のリーダーとして世界を舞台に勝負してほしいから」と、李敦煕校長(68)。1996年の開校以来、内外の一流大学に人材を送り出し、卒業生は官僚や研究者などとして活躍中だ。

 韓国政府は2000年、エリート教育に国を挙げて取り組む「英才教育振興法」を制定。03年には同法に基づき、民族史観高校をモデルにした国立高校「韓国科学英才学校」を釜山(プサン)に開校した。生徒は大学教授の指導も受け、物理や数学など専門分野の研究を進める。毎年1本の論文提出が義務付けられるが、成績優秀者は提携する国内の大学に無条件で進学できる。



 だが、なぜエリート養成なのか。政府機関・科学技術部科学技術人育成課の金在植課長(52)は「資源が少ないわが国では、英才1人が約3000億円の価値がある。そのためには、人を育てる政策が必要だった」と、説明する。

 韓国だけではない。韓国教育開発院英才教育センターの徐恵愛所長(46)が注目するのは、ブッシュ米大統領による今年1月の一般教書演説だ。中国やインドの台頭に、理数系教師の7万人採用など、科学教育のすそ野の強化策を打ち出した。その中国は1995年、「科教興国」のスローガンを掲げ、先進国に国費留学生を大量に送り込み、長期的視野で育成に取り組む。小学校からエリート教育を行う「重点学校」もある。

 シンガポールは小学校段階の2回のテストで、その後の進学先が決まってしまう。批判はあるが、「徹底したエリート教育が人口約400万の小国が繁栄できた理由」と、白百合女子大の田嶋ティナ宏子助教授(44)は説明する。



 翻って日本では、第2次世界大戦後、エリート教育はながらくタブー視されてきたが、ここにきて変化の兆しも見えてきた。

 慶応大は予備校と協力して、少数精鋭の現役高校生を対象とした先端科学の連続講座を開く。国際会議で発表する力をつけるため、科学英語も学ぶ予定だ。今月8日には、トヨタ自動車などが運営する海陽中等教育学校が、愛知県蒲郡市に開校する。モデルは有能な人材を輩出する英国・イートン校で、知識詰め込み型の受験エリートを超えたリーダー育成を目指す。

 官僚の不祥事や政策立案能力の低下が言われる中、東京大は時代が求める官僚を養成する大学院を設置した。早稲田大は、リーダー養成のため、ジャーナリストの田原総一朗氏を塾頭にした「大隈塾」をスタートさせた。改革派の知事などが進めるのは、高校生を対象とした「日本の次世代リーダー養成塾」だ。

 その根底には次のような問題意識がある。「極端な平等主義教育の中で、日本には国際的に活躍できるリーダーが育っていない」(塾長代理の榊原英資・早稲田大教授)。日本もようやく重い腰を上げつつある。

 (白石洋一

(2006年4月1日 読売新聞)

ほうほう。
んー? ていうか、「第2次世界大戦後、エリート教育はながらくタブー視されてきた」ってほんとか?べつに、タブー視ってほどでもなく、どこの学校でも「次代を担うリーダーの育成」ぐらいのキャッチフレーズは言ってたような気はする。
なので、ポイントは、排他性があるかどうか、「シンガポールは小学校段階の2回のテストで、その後の進学先が決まってしまう。」みたいな、早期選抜と排他的なトラックの形成があるかどうか、というところなんじゃないかな。
東大の大学院やら、慶応の講座やらは、さしあたりいまのところは、まぁ、各大学が目新しい看板で宣伝をしたがってるなあ、という以上のものには聞こえない。じゃないのかなあ。