教育基本法改正:与党案正式決定 識者はどう見る 梶田叡一氏/藤田英典氏

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20060414ddm041010036000c.html

◇「開かれた愛国心、教えられる」/「国が統制を強める根拠にも」

 自民、公明両党による教育基本法の全面的な改正案が13日、まとまった。改正が実現すれば、1947年の制定以来ほぼ60年ぶりに「教育の憲法」が様変わりする。改正案は、現行法の「個人の尊厳」を重んじる理念に加え、新たに「我が国と郷土を愛する」との表現で「愛国心」の理念や「公共の精神」が盛り込まれたのが特徴だ。改正案をどう受け止めるか、識者に聞いた。(2面参照)

 梶田叡一(えいいち)・兵庫教育大学長は「国が統治機構を意味しない上、他国を尊重する表現となった。この二つの歯止めがあれば、自国中心主義ではない、あるべき姿の開かれた『愛国心』を教えることが当たり前になるだろう。今回の改正は、学習指導要領の改訂や運営にいい意味での効果がある」と期待する。

 一方、藤田英典(ひでのり)・国際基督教大教授は「過去に国民を不幸にした国家主義や、教師が子どもに上から価値観を押しつける教化主義が強調され、政府の危険な意図を感じる。教育現場で国が統制を強める根拠規定になるだろう。大学教育や家庭教育などの目新しい規定は改正を正当化するためのもの。現行法にはないが、現実には何の不都合もない」と批判する。【長尾真輔、井上英介】

毎日新聞 2006年4月14日 東京朝刊