宿題からの逃避であれこれ再読。黒沢『恐怖の映画史』とか。

黒沢清の恐怖の映画史

黒沢清の恐怖の映画史

いちおう対談というかたちだけれど、まぁ黒沢本ですね。じつはここにも、「機械」とか「運命」とかいうキーワードが出ていて、動き出したら止まらない運命の機械、みたいな文脈で出てくる。人間的な存在が人間を超えた運命の歯車に取り返しのつかない形で巻き込まれていく、その巨大で無慈悲な機械にひとたび巻き込まれてしまえば、人間などは恐怖の叫びを上げることしかできずに、轢き潰されて無に帰してしまうことしかできない。裏返しの崇高さを顕現させる、一種の悲劇論といえなくもない。