- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2003/07/24
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全編デジカム撮影ってのが当時の売りで、えー?だってデジカム撮影だってどうせ今となっては珍しくないわけだし、10年前にやってたってどってことないでしょう?と思っていたらそれが大きな間違いで、冒頭から一貫して失笑モノのカメラワークである。
えーと、黒沢清が『ドレミファ娘の血は騒ぐ』を振り返りつつ『映像のカリスマ』で書いていたのだけれど、「見た目」ショットって何だ?ということで、たしかに『ドレミファ娘』の中で明らかに異様なショットがあり、それはいかにも批評的なすれすれの冗談っていうか冗談すれすれの批評っていうかそういうかんじがみなぎってたんだけれど、庵野という人は、「顔を洗うときの見た目」(洗面台を覗き込む画面のてまえから手が二本にゅっと出てきて、水道の水をカメラにかける)とかへいきでやっちゃうわけで、そりゃやっぱりアンマリだと思うのだ。デジカムはどんどん振り回せるしどこからでもどうやっても撮れる、だから撮っちゃう、みたいなかんじ。
お話としては、主人公の女子高生ってのがいて、いかにも女子高生です、みたいなかんじで、それがふいに指輪がほしくなって援助交際をする、という筋で、前半は友だちふうの4人組でつるんでいて、後半はひとりで伝言ダイヤル(でしょう?時代ですな)をつうじて援助交際をして歩く、それで何人かの大人の男たちが登場しては消える、あわやというところで主人公は助かってぶじ(じゃないつもりだろうけど、無事だよあんなもんは)帰宅する。いかにも律儀で、説教臭いおはなしである(説教強盗ならぬ説教強姦魔にはあきれた)。
デジカムを振り回せば映画的自由が手に入るというものではないわけで、なんかこう、芸のない平板な自己愛を延々と見せられてた感じではある。