http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070914ur01.htm
昨年、全国で相次ぎ明らかになったいじめ自殺。大阪府教委は教師志望の大学生らを中学校に派遣し、生徒の本音を引き出す「スクールメイト事業」を今年度から始めた。教師の高齢化が進む中、生徒に近い世代の協力で、いじめの早期発見を目指す試みだ。
「生徒を勇気づけるには向き合うより横並びになる方が効果的」「自分に好意的な人に生徒は心を開く。ほめ上手になること」
同事業の応募者への研修会が6月下旬、大阪市内で開かれた。講師を務めたのは、人間関係作りのノウハウに詳しい民間の専門家。実践的な言葉の数々に、参加者はうなずきながら熱心にメモを取った。
府内では昨年11月、富田林市の市立中学1年の女子生徒(当時12歳)が自殺した。背が低かったことを同級生らから「チビ」とからかわれるなどしており、学校でのいじめも自殺の要因の一つとみられている。
自殺後の調査で、65人の生徒が女子生徒へのいじめを知っていたことが判明した。しかし、学校側は、いじめの存在を把握できていなかった。それが同事業のきっかけとなった。
スクールメイトの派遣対象は政令市の大阪市、堺市を除く府内の全中学校290校。週1回のペースで訪問し、いじめ問題を考える授業やクラブ活動に参加したり、休み時間に生徒の話に耳を傾けたりする。心理学や教育学を学ぶ大学生ら約270人が名乗りを上げた。日当は交通費込み3000円。事実上のボランティアだ。
府教委によると、府内の中学教師の平均年齢は45歳近い。いじめ自殺の予防には、いじめの早期発見が重要だが、業務の多忙化に加え、生徒との年齢ギャップの広がりもあって、細やかな指導が行いにくい状況もあるという。それだけに府教委の担当者は「小さな叫びを拾ってほしい」と、大学生らに期待する。
同じスキルを持った大学生らを派遣できるよう、全員に半年がかりで計6回の研修を受けてもらう。いじめ予防を目的に、これほど大がかりな研修をするのは珍しいという。
研修と並行して、大学生らは6月からすでに各中学校での活動を始めている。教員志望という龍谷大1年の男子学生(19)は「今は生徒との間に壁の存在を感じるが、回数を重ねれば打ち解けていけるのではないか」と話す。
井上敏明・芦屋大特任教授(臨床教育学)は「生徒は若い人を身近に感じる傾向があり、興味深い試みだ。大学生らが生徒の本音を引き出し、効果をあげるためには教員とは異なる立場であることを明確にする必要があるだろう。大学生らをフォローする学校や教委の力量も試されている」と話す。(水野広宣)
(2007年9月14日 読売新聞)
先行する関連記事。
http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20070130kk02.htm?from=goo
大阪府教委、いじめ防止へ 大学生派遣…新年度から
300人募り、小中学校に
学校でのいじめ対策として、大阪府教委は、心理学や教育学を学ぶ大学生を募り、新年度から府内の中学校や小学校に派遣する方針を固めた。いじめのない学級づくりを目指す授業で教師を補助するボランティアで、「スクールメイト」と呼ぶ予定。約300人を募る。府教委は「教員の高齢化が進む学校に若い力は有効。小さな叫び声を拾ってほしい」と期待している。
マンパワーの拡充を主眼に置いた府教委のいじめ対策の一環で、教師の補助のほか、生徒の悩み相談にも応じる。政令市を除く府内の全290中学校が主な対象で、場合によっては校区内の小学校に派遣することもある。2月上旬から募集を始め、ベテラン教師や専門家による研修を経て、7月ごろから週1回程度現場に赴いてもらう予定。
いじめ対策として府教委はさらに、授業を持たず生徒指導に専念する教師50人を「子ども支援コーディネーター」として確保し、課題がある学校に配置する方針。学力向上のため文科省に申請した加配教員の一部もいじめ対策に専従させることにしているほか、いじめを未然に防ぐ学級運営やいじめ発生の際の対応マニュアルをまとめた「いじめ対応プログラム」の開発にも取り組んでおり、新年度から教員向けの研修を実施する、という。
(2007年1月30日 読売新聞)
うちの学生もこれもいっちょかませたいなあ。ていうかもうやってるかな?
大阪でない、地元では、けっこうやっている。うちの研究室の学生はけっこう受けているんである。
それはそれなんですが、
いやしかし、
こういう記事の書き方をすると、なんかスパイを放っているような書き方で、それはたぶん実態とは違うなあ。
生徒の本音を引き出す
とかいうけれど、もんだいは「本音を引き出す」ことではないはず。
大学生は、たんに「本音を引き出し」「いじめを発見し」それを教員に通報することをするのではないはず。
もしそういう目的で学校に入るのであれば、それは「チクる」のとおなじことになる。
大学生を窓口にしておけば気を許してチクるだろう、というのは、生徒を馬鹿にした話だろう。
大学生のほうにしたって、そんなおかっぴきみたいな役割はきぶんわるいだろう。
ところで、もしこの事業がうまくいくとすれば、それは、大学生たちがスパイ団のような働きをするせいというより、
大学生たちが学校に入ることで、学校がおもろい場になるから、なのではないか。
おもろい場になれば、しぜんと、いじめであれなんであれ、解決の方向に行きやすくなるだろう。
大学生たちをおかっぴき程度にしか扱わない先生がいるとしたら、この事業がプラスにはたらくことはないような気がするし、
まだまだ未熟な大学生たちをうまく活用して学校をおもろい場に作り上げていくことのできる力量のある先生がいたら、おもろいとおもう。