『他人のままで』。ノりつつシラけシラけつつノる時代にけっきょく乗ってるのではという気もするが。

以前、風呂で読む用に古本屋でまとめ買いした文庫本の一冊で、なんとなく読む気になったので風呂で少し読み、あと最後まで読んだ。
フォークルの人で、有名かつ(たぶん)硬派な精神科医でもある著者で、どんな感じだろうと思って読み始めたけれど、ひとつには、書かれたのがちょうどニューアカのころで、その文脈で「浅田彰糸井重里田中康夫」という名前を並べて言及しているくだりもあり、まぁ時代性だなあとは思った。さいしょにベイトソンダブルバインドなどという単語がでてきて、それをなんかこう、一つのことを言ってみたりまたそれをけむに巻いてみたりというふうな語りのスタンスを示すために使っていたりして、まぁ、全編、そういう「ノりつつシラけシラけつつノる」みたいな態度が通されているし、あとがきにかえて、の小文のテーマもそのへんのことで、つまり、それが本書全体の主題のひとつにもたぶんなっている。そのへんは、これまた時代だなあと。