『リスクのモノサシ』。さいしょのほうはおもしろかった。

リスクのモノサシ―安全・安心生活はありうるか (NHKブックス)

リスクのモノサシ―安全・安心生活はありうるか (NHKブックス)

このところなぜかしら本がまともに読めなくて、読み直しとかつまみ食いとか散漫な読み方しかしていなくて、通勤電車の中で読むのがかろうじて一冊の本を通して読む機会になっているというていたらくである。なぜだ?(まぁ、論文を書いている(というか書けないでいる)さいちゅうだから、ということなのだけれど)
で、
この本、さいしょのほう、っていうのはつまり話の枕の部分はおもしろかった。「標準化されたリスク比較セット」を提示するあたりまで。
入浴中の水死のリスクは交通事故より低いけど火事で死ぬより高いレベルだ、でも

先に就寝する人は起きている家人に向かって「火の元に気をつけて」とよくいう。また、外出しようとする子どもに向かって「自動車に気をつけて」というのも日常的なフレーズになっている。しかし、入浴しようとする家族に向かって「お風呂に気をつけて」という人はあまりいないだろう。けれども、リスク比較セットにおけるこの位置は、入浴がそこそこリスキーな行為であることを示している。

なんていうのは、まぁ冗談はんぶんとしても面白い。リスクを標準化して表にして比較する、ということの、有用性とバカバカしさの両方をわかるとよい。
本の後半のほうは、リスクマネジメントの話から信頼の社会心理学的モデルみたいなはなしになって、まぁ、そらそやろぐらいのかんじで退屈になったので、通勤電車で何日も持ち歩いていた。