「習慣病」になったニッポンの大学―18歳主義・卒業主義・親負担主義からの解放 (どう考える?ニッポンの教育問題)
- 作者: 矢野眞和
- 出版社/メーカー: 日本図書センター
- 発売日: 2011/05/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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帯の惹句にいわく、
授業料をタダにする。
これが本当の改革だ!!
というのは、世界的に見ればあたりまえのことで、そこに違和感を感じる日本の常識のほうが珍しいのである。そして、大学進学率がいま50%に達したというのは「多すぎる」という感覚がどうやら世間にあるようで、ところがその感覚も逆で、「まだ少ない」と考えるほうがまっとうである、ということになる。より多くの人々が高等教育を受けることができるほうが世の中がよくなるし、国際的なトレンドも、高等教育進学率を向上しよう、という方向性ですと。言われてみればそれも一理なわけである。
で、なぜそう素直に思えないかというと、そこには、サブタイトルにある「18歳主義・卒業主義・親負担主義」という日本の大学ならではの常識があって、さらにその常識に支えられて、経済社会・大学・家族の関係性ができあがっちゃってるよと。日本の大学の戦後史を見ても、統計的なデータを見ても、日本の大学は日本ならではの問題を抱えてきていて、それに対する解決策が模索されたりしていたのだけれど立ち消えになったりだましだましつじつまをあわせちゃったりしつつずっと来ていて、日本ならではの大学と社会の関係性をつくりあげちゃってそれが生活習慣病みたいになっちゃってると。それを変えようと。そして、法律論イコール大学に命令する、だけではなくて、資源論つまり大学にちゃんと税金を使うやり方をしっかり議論の俎上にのせないと、手ぶらで大学がよくなるなんて都合のいい話はないですね。
こういうはなしは、生涯教育の場として大学を考えるといういみでもとうぜんだいじなのでうちの学生は読むべきだし、いわゆる大学人とかそういう人種の人たちはみな読むべきと思う。