『スキャナー・ダークリー』みた。ディック愛。ウィノナをヒロインにするとかド本気。ディックつながりで見た『ペイチェック』はジョン・ウーの爆薬&カーアクション映画だった。

スキャナー・ダークリー [DVD]

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これはディックのはんぶん自伝的な小説ということもあって、映画化するというとハードルは高く高くなるのだけれど、それを直球で越えようという。両親がヒッピーで、ティム・リアリーのコミューンで育ったウィノナ・ライダー、というか、万引きで捕まったり精神安定剤の過剰服用で運ばれた(それはまぁ映画よりあとだけど)りして精神の脆さで知られてしまっているウィノナ・ライダーにヒロインのヤク中仲間をやらせるなどというのは、ほとんど「やってはいけないこと」じゃなかろうかと思いつつそれをやってハードルをクリアしてしまったという(まぁ、ウィノナはそんな役ばっかやってるといえばいえるのか)。
で、この映画、実写で撮影した映像を画像処理っていうか、なぞってアメコミ風の絵にしたアニメ、という、手の込んだつくりかたをしている。そのへんが、ヤク中の、というかディックの世界の非現実的な現実感としっくりくる。
で、見終わったらDVDには特典映像がついていて、監督やキアヌやディックの実の娘なんかが作品にうだうだとコメンタリーをつけるというのがあって、それは見たい!となって、つまり今見終わった作品を再び最初から最後まで見直すことになった。
で、
ペイチェック 消された記憶 [DVD]

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すっかりディック的にまんぞくして、流れでディックの二本立てということで『ペイチェック』を見たら、これはようするにジョン・ウーの、爆薬ありカーチェイスありのアクション映画だった。『スキャナー』のコメンタリーで監督か誰かが言ってた、「ディックの作品をたんなるカーアクションの映画にしてしまう」というのは、直接的にはこれかあ、と。たしかに、「現実とは何か」とかそういう問いかけはスッキリ無くて、どっちかというとヒッチコック的な「巻き込まれ型」サスペンス、のほうに近い、けれど、サスペンスをじっくりやるわけでもなくて、派手なカーチェイスと爆薬ですね。