このところずっと読み返していた『恋愛太平記』。

恋愛太平記〈1〉

恋愛太平記〈1〉

この本が出て最初に読んだときにはオーバードクターだったわけで、たぶんさえない日々を送っていたという記憶があり、そのあともういちどよんだかもしれないけれどたぶんそのときもさえない日々のどこかで読んでいたような記憶なわけで、いずれにせよ、いかにもうんざりするところがグロテスクな滑稽さなのだというのはわかるにせよ、でも気が滅入るなあ、と思いつつ読んでた覚えばかりあるのだけれど、このたびふとひっぱりだして、たぶん半月ぐらいかけて少しずつ読み返していたら、まぁようやくおもしろかった。1995年に出た本で、舞台は70年代末から80年代で、北関東あたりの中流階級(とはいうけれど、地方の名士ではあるぐらいのクラス)の四姉妹(長女が団塊の世代)の、まぁ恋愛事情というか結婚事情というか、そういうまぁおはなし。いかにもな母親と30代の娘たちのおしゃべりや振る舞いがうんざりさせてグロテスクでおもしろいというわけなのだけれど、やはりそれはこちらが年齢的に距離をとれるぐらいにならないとトゥーマッチかなあというところもあって、30代後半のバツイチの姉妹たちが「夕香ちゃん」「朝子ちゃん」とか呼び合っているのを、まぁそうだなあと許す気になるには、さえない日々を送りつつあるまだ20代のオーバードクターはまだまだ若かったのだろうなと思うわけである。