某日、勤労者に感謝しろという国家からの命令を受け、つまり勤労者とはこのばあい自分のことである。ひさびさに朝方から長風呂をすることで勤労にくたびれた自分の身体を慰労することによって国家からの命令をクリアしたことになるんやないか。として風呂に浸かる。それで持ち込んだのが以前古本屋
ブックオフでまとめ買いしていた
川上未映子の一冊でこれは短篇だからすぐ読める。それで感想はというとこれはまず文体があってストーリーがあって何やら仕掛けのようなものがあってそれらによって表現されるテーマのようなものがあってそれがつまりたとえば「私」、とか自己、とかということだとして、そうすると文体はモ
ノローグでストーリーはなにやらストーカー的なことになって仕掛けは読んでのお楽しみということなんやが、主語を立てない語りのうちにわたくしと世界が重なってそこにいくつかの亀裂か穴か、それが他人でもいいし身体でもいいし時間、というのもそうかもしれないのやけれど、その重なり部分を脳、と言ってしまうのはちがうのでここはあえて歯、と言ってみる。口を大きく開けてその穴の奥に堅い堅い奥歯があって、その歯に虫歯の穴があいていて、
入れ子になっていますのん。その穴を埋めるとか埋めないとか産まれるとか産まれないとかぐるぐる語ってはるわ、というのが感想やの。これはそれはそれでこういうものとしてはそれらしい。ただ文体とかストーリーとか仕掛けとかテーマとかがあんまりひとつに重なってしぼられとるのでこのひとこれ以外のものをどう書きはるのやろう。と思った。