通勤電車で読む『もたない男』。いすの背もたれを使わないからのこぎりで切る系の断捨離。

もたない男 (新潮文庫)

もたない男 (新潮文庫)

片付け本の捨てる系のやつには、なにかうっすらとした強迫観念の気配があるわけで、そのへんを読みたいなあと思っていたところ、漫画家の人でそういうのを書いているよというので読んでみた。なるほど捨てている。要らないものが目に入ると気になって仕方がない、という。仕事場は空き部屋のようだと。椅子に背もたれがついていたが使わないのでのこぎりで切って、結局それも捨ててしまって円椅子を買いなおしたとか。ボールペンのインクが減ると、長いのが無駄で気になるのでペンをナイフで削って短くして安心して使うとか。本も読んだら捨てる、ていうか読みながら読み終わったページを何ページかずつ束にして破って捨てていく。自分の書いた生原稿もシュレッダーにかけてごみに出してしまう。知人からもらった生原稿は、しばらく額に入れて飾っていたが、額を捨てて段ボールに入れて押入れに放り込んでしまい、けっきょく気になって捨ててしまう。

この間、テレビを見ていたら、理想の収納法として、10割詰め込むのではなく5割程度にするのがいいといっていたんですが、なるほどな、と思いました。
私だったら、食器棚に半分くらいしか食器が入っていなかったら、食器を下の半分によせて、棚の上半分をノコギリで切りとりますが、世の中にはいろいろな考え方の人がいるのだと思いました。確かに、食器棚の半分ぐらいのスペースを空けておけば、ごちゃごちゃせずにみばえもよく、使い勝手もいいのかもしれません。

文庫版には、南伸坊と断捨離の人との対談が載っているけれど、そこで南伸坊内田百間に言及していて、なるほどと思った。