学生についつい勧めてしまったいきおいでついつい見てしまった『鴛鴦歌合戦』。

ひょんなことで、学生に映画を勧める流れがちょっとあり、どうやら70分ぐらいで、ということなんでどう考えても現在の普通の長さの映画の尺ではなくて、まぁ50年代とか60年代とかのB級のプログラムピクチャーというのも受けるわけはなくて、まぁ戦前のサイレントなんてなおさら受けるはずもないわけで、うーむと頭をひねりつつ、じつはこれを勧めたら負けみたいな1本があるわけでついつい「・・・チャンバラとかだめかな?」「え。チャンバラですか」「うーん、これはあるていど映画を見る人なら鉄板で受けるというのがあるんやけど・・・戦前のミュージカルっていうかラブコメありチャンバラありの時代劇っていうか」「なんか全然わかんないですけど」「うーん、まぁ、あるていど映画を見る人にはもう鉄板なんだけど・・・YouTubeでも見れるんやけど」「はあ見てみます」みたいな流れがあり、それで学生さんはYouTubeでちょっと見ていたようだけれどその後見てなかったのでお気に召さなかったようでこういうのはやはり精神にはよろしくない。
それでまぁそういう流れからやはり自分で見たくなり、これはもうあまり良すぎるのでむやみに見たくないし、見るなら季節は春がいいに決まっているのだけれどそこを曲げてですね、曲げに曲げてついつい見てしまうと、服部富子が華やかで、ディック・ミネはすばらしく軽く、そして何より市川春代が可憐でキュート。早撮りの天才マキノによって一週間で撮り上げられてしまったにもかかわらず完璧な形で成立してしまったという奇跡的な作品。オーバードクターのときに、あらゆる悪条件の中で自分はこのような論文を低予算早書きで書き上げるのだ、と心の支えにしていたのだった。