学校帰りの商店街の古本屋さんで買った『社畜人ヤブー』『犬を飼う』。

社畜人ヤブー

社畜人ヤブー

犬を飼う (小学館文庫)

犬を飼う (小学館文庫)

年度末の書類を提出するべく学校に行き、用が済んで帰り道、伊藤潤二でもないかなと商店街の古本屋さんに入り漫画の棚を見ると、まぁ伊藤潤二はなかったけれど、ちょっと読んでみようかなと思わせるものはあって、とりあえず『社畜人ヤブー』という、なんかタイトルぐらいはネット書評か何かで見かけたことがあるようなのと、あと『犬を飼う』というのは谷口ジローR.I.P.的なものもこめて。で、『社畜人ヤブー』のほうはPHPが出してるマンガ?で、まぁ新社会人っていうか新入社員のためのビジネス啓蒙マンガみたいな意味もありそうなのだけれど、まぁブラックだよという広告代理店の新入社員が視点人物で、これがあれこれ悩んだり仕事きついやめたいとか思うけれどさいごはがんばるぞみたいなことになる、というお話なのだけれど、主人公というかタイトルにもなっているのが、薮という名前の上司でこの人が社畜上等とかいうギャグ的なスーパー社員というところ。で、仕事を覚えるのも「守・破・離」とかいって、「守」のところができていないやつが自分らしくとか言えないだろうと、とにかくブラック企業だろうが理不尽上司だろうがポジティブに捉えて社畜上等で10年ぐらいがむしゃらに言うことを聞いてはじめて、仕事の基本が身について、そうなってこそ立派にやっていける、会社に文句を言える立場になるのはそれからだ・・・という。まぁギャグの要素をぬきにして作品のメッセージ性だけを汲み取るとまぁそういう内容で、まぁ各話のあとにミニエッセイとかでちゃんとなんのひねりもなく真顔でそういう内容を書いているので、まぁこれはPHP直球の新入社員啓蒙マンガなのだということがわかる。タイトルから想像されかねないひねったアイロニーとか批評性とか一般教養のラインとか、そういうものはいっさいないのですがすがしい。で、『犬を飼う』のほうはしみじみとした佳篇でして、教養ある人士の本棚にそっと並んでいるべき一冊でして、谷口ジローR.I.P.ということなのだった。