『狂った一頁』。なんか全巻狂ってるかんじなのでどこが狂った一頁なのかよくわからなかった。

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ふと目にして、おやと思って見てみた。日本初のアヴァンギャルド映画、みたいなことで名前だけは聞いたことがあって、どんなものかと思ったが、さしあたりタイトルが『狂った一頁』じゃないですか、ということはふつうに考えて、だいたいのぶぶんがふつうで、ところがどこかで何かがおかしくなってしまった、それが「狂った一頁」なのである、というふうな話かとイメージするじゃないですか。しかし見てみたら、なにか闇夜の土砂降りの雷雨の中を車がどこかに疾走して、他方で精神病院の鉄格子のなかで女がくるくると踊ったりのたうちまわったりしていて(もう政治的正しさとか以前のもんだいで)、なんかそこからとにかく全巻まんべんなく狂っているのでどこのどのへんが狂った一頁なんだかよくわからなかった。字幕もほとんどなくて(Wikipediaの注によると「映像の純粋性を保つため、横光が無字幕で公開するように主張した」のだそうだ)、そもそもストーリーがさっぱりわからなかった、というか、見ている間は、ストーリーがあるとは思っていなかった。
で、見終わってからWikipediaを見たら、「あらすじ」というのがかいてあるじゃないですか。

あらすじ
元船員の男は、自分の虐待のせいで精神に異常をきたした妻を見守るために、妻が入院している精神病院に小間使いとして働いている。ある日、男の娘が結婚の報告を母にするために病院を訪れ、父親が小間使いをしていることを知る。娘の結婚を知った男は、縁日の福引きで一等賞の箪笥を引き当てる幻想を見る。男は妻を病院から逃がさせようとするが、錯乱した男は病院の医師や狂人を殺す幻想を見る。今度は男は狂人の顔に次々と能面を被せていく幻想を見る。

そういう話だったの?という気がしなくもないけれど、しかしみなさん、この「あらすじ」の文章をようく見てくださいね、とくに後半の3文は、

…男は…幻想を見る。男は…ようとするが、錯乱した男は…幻想を見る。今度は男は…幻想を見る。

幻想ばっかりやんか!そんなもんわかるかい!ついでにいうと、前半の2文は設定を書いてるけど、無字幕サイレントでそんな設定つたわるか!わけわからんわ!
という映画。