自分の顔に絶対の自信を持つ男。ウディ・アレン他『ニューヨーク・ストーリー』

某日。帰宅してビールを飲んだなりうたた寝→寝苦しくて夜中にめがさめた、という流れで、ぼんやり時計を見たら、うーん、たしか深夜TVで映画やってたはずだなあ、見るつもりなかったけど、オムニバスでウディ・アレンの短篇がはいってるってたなあ、ちょっと見たいかも、と思い、TVをつけると、ちょうどウディ・アレンが出ていた。

ニューヨーク・ストーリー [DVD]

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ずいぶん老け込んだものの例の風貌のウディ・アレンが、例によって困ったようにおろおろして、ミア・ファローともめていて、寝室で小さなテレビ画面を見たりしていて、眠れないとか死にたいとか言い、精神分析医に悩みをくどくどと告白し、オールドスタイルのジャズをBGMにして町中を追い掛け回され、新しいぱっとしない女に出会い、不器用に食事をしたりして、最後にはハッピーエンドになるのだけれど、ちょっとほろ苦いラストシーンを、お得意の、困ったようなあきらめたような何かを願っているような、ようするに例の、ウディ・アレンの顔でしめているわけで、この人はこの顔さえあれば、何十年も同じお話を繰り返しながら作品をつくっていける、という絶対の自信をもっているようで、それはまあそのとおりであって、夜中に目がさめてぼんやりと見ていると、まあなごむといいますか、まあこんなもんだと安心するというか、まぁ、よかったのだから、それでよかったのだ。