太りすぎ、世界で10億人以上 WHO発表

http://www.asahi.com/health/news/TKY200509230149.html

2005年09月23日19時40分

 世界保健機関(WHO、本部・ジュネーブ)は22日、60億人余りの世界の人口のうち10億人以上が太りすぎで、このまま増加を続ければ2015年までに15億人に達する、との推計を発表した。中高年の過半数が太りすぎの国もあることから、25日の「世界ハートの日」を前に「肥満は心臓病や脳卒中などの引き金となる」と警鐘を鳴らしている。

 WHOの推計によると、30歳以上の75%以上が太りすぎと推定されるのは、女性の場合エジプト、マルタ、メキシコ、南アフリカ、トルコ、米国など。男性の場合ではアルゼンチン、ドイツ、ギリシャクウェートニュージーランド、英国などが指摘されている。肥満が社会問題化しているナウルやトンガでは成人の10人中9人が太りすぎだ。

 WHOは、体重(キロ)を身長(メートル)で2度割った数値「体格指数」(BMI)が25以上を「太りすぎ」、30以上を「肥満」と規定している。たとえば、175センチ、88キロはBMI28余りとなり、太りすぎだが肥満までには至らない。日本肥満学会は、日本人の体質の違いから、これよりやせた人も「肥満」と呼ぶ厳しい基準を設けている。今回発表された「肥満注意国」に日本は含まれていない。

 かつて先進国に多く見られた肥満が、最近では所得の低い国々でも急増しているのが目立つ。世界的に脂肪や糖分の多い高カロリー摂取の食生活が定着しているうえ、途上国でも車社会が広がり、運動量が減ったことなどが原因とみられる。


 WHOの非伝染性疾患・精神衛生担当は「今のうちに予防措置を取らないと、10〜20年後に低中所得諸国で慢性疾患が膨大に増える恐れがある」としている。心疾患の主要な原因は太りすぎや肥満といわれるが、特に東地中海やアフリカ地域で、心疾患による死亡数が「10年間で25%増えると推計される」という。

きのうここで書いた(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20050923#p2)的場『マルクスだったらこう考える』の議論ともあわせて、とてもわかりやすい現象。
食欲、などといういちばんシンプルな「本能」のはずのものが、じつは世界資本主義システムの相関物だということ。
高カロリーの食生活と自動車の普及をはじめとする運動量の低下が、生物学的なカロリーバランスを超えて、あらたな「欲望」を上書きする。
そして、むしろ先進国の方で、「ダイエット産業」の発展によって、高所得者のほうが、標準体型をキープすることになる。
映画「スーパーサイズ・ミーhttp://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20041130#p1も参照。

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金原『〈子〉のつく名前の女の子は頭がいい』も参照。子どもの名前と、偏差値とか好きな雑誌とか体型バランスとかのあいだに、相関があるぞというイヤーな本。