小学生の越境入学認める自治体増加

同じ読売で、連動した記事なのかな。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060414ur01.htm

下校途中の子どもが巻き込まれる凶悪事件が相次ぐ中、通学路の安全確保を理由に、小学生の越境入学を認める自治体が目立ち始めている。

 従来、保護者が学校を選ぶ「学校選択制」などの試みが、教育自由化の一環として広がりつつあったが、安全という観点は、さほど大きな要素ではなかった。子どもを取り巻く昨今の犯罪情勢が、通学区域(学区)の弾力化に拍車をかけた格好だ。

 ◆通学の安全最優先

 市区町村教委が越境入学を認める制度は、大きく2つある。就学する学校を各教委が指定する前に保護者の意見を聞いて反映させる学校選択制と、指定後、保護者の申し立てを受けて変更する制度だ。いずれの場合でも、文部科学省は要件や手続きを明確化し、公表するよう求めている。

 大阪府南部のベッドタウン泉佐野市は指定校変更制度を採用。変更が認められるのは、いじめなどの事情がある場合に限られていたが、2005年度から「指定校より希望校が近い場合」も認めることとした。

 同市では1994年、沖合に関西空港が開港したのを機に大規模マンションが増加。市教委の指定校より隣接学区の学校の方が近いケースが多く生じ、「近くて安全な学校に行かせて」との要望が出されていた。

 同市教委によると、距離を理由に指定校変更が認められたのは、05年度19人、06年度12人。市教委は「犯罪や事故に遭う可能性が減るのは確か。保護者の不安解消にもなる」とする。

 昨年11月、下校中の小1女児が殺害され、段ボール箱に入れて遺棄された事件があった広島市学校選択制の検討を始めた。「学区の一体感が薄れる」などとの意見もあり、従来は慎重な姿勢だったが、同市教委は「悲しい事件があった以上、子どもの安全のためにできることは万全にしなければ」と話す。

 広島県では、呉、福山両市など4市が06年度から学校選択制を導入。同県教委によると、「通学路の安全」を理由に挙げるケースが多かったという。

 文科省によると、小学校で学校選択制を導入しているのは導入時期が不明な7自治体を除き、97年度、全国で65自治体だったが、04年度は220自治体に増加した。

 また、04年度、指定校変更の事例があったのは、調査対象の2576自治体のうち1091自治体。変更理由は「家庭の事情、いじめ・不登校など」に次ぎ、「通学距離、通学路の安全の事情など」が多かった。

 文科省初等中等教育企画課は「通学距離の短縮は通学路の安全を守る一手段と言える。地域の実情や保護者の意向に応じ柔軟に判断すべき」としている。(関口和哉)

(2006年4月14日 読売新聞)