学生も「官から民へ」 公務員志願が激減

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学生も「官から民へ」 公務員志願が激減
2006年06月15日03時05分
 今年度の公務員試験を志望する学生が大幅に減っている。官庁や自治体は、景気の良い民間企業に学生が流れたと見ており、「バブルのころに似てきた」との声も漏れる。しかし、「官から民へ」の小泉改革こそが公務員離れの一因を作ったとの皮肉な見方もある。
 今年度の志願者は、国家公務員1種(法律・経済・行政)で前年より13.6%、2種で22.6%の減。地方公務員も、東京23区(事務職)で12%減った。
 「民間の採用が早まり、4月から学生に内々定が出ている。内々定をもらうと受験をやめてしまう」と人事院の担当者は話す。
 資格・就職の予備校、Wセミナー(東京)の集計では、事務・行政系の採用枠は国家公務員こそ微減だが、地方自治体は首都圏1都3県の都県庁や政令指定都市で合計35%増えた。団塊世代の大量退職への対応と、近年採用を抑制してきた分の人材を確保する必要もあるからだ。
 公務員試験の受験者の増減は景気と連動する。国家公務員2種を例に見ると、バブル期は低調。90年代に入って景気が後退すると、今度は人気が上がった。
 今回の受験者減は、バブル再来の兆しか。中央大学法学部の今村都南雄教授(行政学)は、それだけが原因ではないとみる。「郵政が民営化されて宅配便会社との違いがわからなくなったように、『官から民へ』『小さな政府』の小泉改革で、これからは役所では面白い仕事ができそうもない、と学生は敏感に感じ取っている」
 教授のゼミでは、2年生のうちは公務員志望者が多いが、3、4年になると激減するという。