放課後にアキレスと亀のはなしで学生をけむに巻く。夜の校舎の廊下で追いかけっこをする。で、あとで野矢『無限論の教室』を読み返したり。いい商売だなあ。

某日、夕方からの会議が終わり、そのあとも研究室でスタッフの打ち合わせをやって、その後も残ってメールの発信をひとつやり、それでふと思い出して、共同研究室のテレビで亀田のボクシングを学校で見てから帰ろうという気になる。それで共同研究室に行くと、学生がひとり残って作業をしている。で、その学生にはちょうど、昼に、アキレスと亀とかそういう話をしていて、宿題にしていたのだった。うちの学生は、アキレスと亀とかそういうネタを知らないやつが結構いて、本気で引っかかってくれるので新鮮で面白い。
ていうか、結局、哲学の本業の業界内で、この問題は解決してるのかしてないのかというと、してないのだ、というふうに読んだ気がして、だから学生さんが上手に説明しようとしても、こっちは自信を持って反論するのである。
で、亀田の試合よりもそっちのほうが面白くなって、アキレスが亀を追い抜けると主張する学生さんに対して、「君は現実を見てない」とか「君の言うのは机上の空論だ」とか「君は数字のマジックで私を騙そうとしている」とか「君のゆってることは、アキレスが亀を追い抜くっていう先入観ありきで結論から先に言ってむりやりこじつけようとしてズルい」とか「君みたいなそんなことを言うやつが教師になって子どもたちに学校でしか使えない机上の空論ばかり教え込んで騙すようになるんだ、いかんいかん」とか散々言って、学生さんが右手と左手でアキレスと亀をやってみせて、ほら追い抜くでしょう、とか言ったら、「うわ!奇跡が起きた!どうやったんや!?わけわからん!何が起こったん?説明して?」とか言って、面白がっていたら、学生さんも完全にムキになって、夜の校舎の廊下で追いかけっこを演じた挙句にあぶなく終電に追いつけなくなるはめになるところだった。
まぁ、のんびりとしたいい商売ではある。
ちなみに、アキレスと亀について、しばらく自分で納得していたつもりだったのがやはり違うんじゃないかという気になったのは、以前読んだ野矢『無限論の教室』が面白かったってのがある。

無限論の教室 (講談社現代新書)

無限論の教室 (講談社現代新書)

ちょっと読み返したらやっぱり面白い。