http://www.asahi.com/life/update/0803/TKY200708030106.html
減る賃金、増す残業 労働経済白書「成果配分見直しを」
2007年08月03日11時01分
戦後最長におよぶ景気回復とは裏腹に、実質賃金は減り、労働時間も延びるなど労働環境が改善されていない実態が、厚生労働省が3日発表した07年版「労働経済の分析」(労働経済白書)でわかった。白書は非正規雇用や成果主義、裁量労働制などの拡大を原因として指摘。業績回復の果実が労働者にも行き渡るよう、新たな成果配分の仕組みが必要だと訴えている。
今回の白書は、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を主題に分析。賃金面では、80年代や90年代の景気回復期と、02年からの今回の景気回復とで賃金上昇率を比較した。
今回の景気回復では、景気の谷だった02年第1四半期に比べ、06年第4四半期の賃金は従業員500人以上の大企業でも0.3%増でほぼ横ばい。100〜499人の中堅企業では1.2%減、5〜29人の小規模企業は5.3%減と、むしろ悪化した。物価上昇率を反映した06年平均の実質賃金は、前年に比べ0.1%減った。
これに対し、80年代の景気回復は小規模企業のデータがないが、大手や中堅でみると、83年第1四半期からの回復時は賃金が9.1〜5.0%上昇。86年第4四半期からの回復期には、18.7〜14.1%増えた。93年第4四半期からでは8.4〜3.9%増だった。
一方、06年の労働時間は残業が5年連続で増え、総労働時間は前年比0.5%増の年間1811時間だった。若年層を中心に労働時間が短いパートが増えたものの、働き盛りの30代や40代の正社員に仕事が集中。週60時間以上働く人の割合を96年と比べると、35〜39歳が19.6%から21.6%に、40〜44歳が16.3%から21.2%に、45〜49歳が14.9%から18.3%に上昇した。
こうした現状について白書は、非正社員の増加や労働組合の組織率の低下などで「経済成長と労働生産性の上昇を労働条件の改善につなげる従来のメカニズムが働きにくくなった」と分析。成果主義賃金や裁量労働制などの導入で「(企業が)労働者が抱える仕事の状況を把握することが難しくなり、結果として特定の人々に長時間労働を集中させる傾向を生み出している」とした。そのうえで、ワークライフバランスの実現には「成果配分のあり方を、一人ひとりの働き方に応じたものへと見直すことが重要だ」と結論づけた。
別の記事。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070803-00000055-jij-pol
企業は従業員へも成果配分を=07年版労働経済白書
8月3日11時3分配信 時事通信
厚生労働省は3日、2007年版「労働経済の分析(労働経済白書)」を公表した。白書は、働き方が多様化する中、企業の生産性が向上しているのに賃上げや労働時間短縮につながっていないと指摘。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)のため、パートタイムから正社員までそれぞれの働き方に合わせて成果を配分するよう求めた。
別の記事。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070803-00000902-san-soci
労働経済白書、働き方に応じた成果配分の実現を
8月3日10時14分配信 産経新聞
厚生労働省は3日、平成19年版労働経済白書(労働経済の分析)を発表した。企業業績が回復する一方、非正規社員の低賃金や正社員の長時間労働が深刻化するなど、働き方の問題から社会全体が疲弊していると指摘。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を図るとともに、業績向上の成果を賃金や労働時間短縮(時短)の形で労働者に分配することが経済成長の持続には重要と訴えた。
白書では、かつては賃上げや時短にも配分されていた企業業績向上の成果が、最近は株主への配当や内部留保に回され、非正規社員を中心に賃金上昇につながっていないと指摘。
また、若年層における非正規雇用の増加と正社員の採用抑制などの結果、長時間労働が深刻化している点にも言及。成果主義など自律的な働き方の普及に伴い、仕事の状況の把握が困難になったことも影響し、30〜40代の男性正社員を中心にした特定の層に長時間労働が集中する傾向になっているとした。
こうした問題が、国内消費の低迷や少子化などの要因になっていることから、働き過ぎの是正策などワーク・ライフ・バランスに役立つ環境整備を進めるとともに、「一人ひとりの働き方に応じた成果の配分を実現することが重要」と強調した。
とくに成果配分については、従来の「春闘」方式の抜本的な見直しが避けられないとして、労使間での真剣な議論を求めた
また別の記事。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070803-00000205-yom-bus_all
景気回復の成果、均衡配分を…労働白書が格差懸念
8月3日14時16分配信 読売新聞
厚生労働省は3日、2007年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。
好調な企業業績が賃金上昇に結び付いていない点を問題視し、「今後は企業部門で先行している回復を雇用の拡大、賃金の上昇、労働時間の短縮へとバランスよく配分し、持続的な経済発展を実現していくことが求められている」として、労働分配率の強化を課題に掲げたのが特徴だ。
雇用情勢について「改善に広がりがみられる」とする一方で、「勤労者家計について、消費は全体として力強さを欠き、教育、住居などの支出項目で所得階層別の格差も拡大している」と指摘。格差問題に対する懸念を示した。
その要因として〈1〉賃金が低い非正規雇用の拡大〈2〉業績・成果主義的な賃金制度の導入による正規雇用の中の賃金格差の拡大〈3〉裁量労働制の拡大などによる長時間労働と短時間労働への二極化の進展――などを挙げた。
最終更新:8月3日14時16分