学生さんがめっけてきた。「いじめ 6倍の12万5000件 171人自殺」と「<いじめ>調査精度に限界」、同じ人が逆の記事を書いていると。

1回生むけ(だけど他学部や他学年の学生さんたちも受けてるけど)の概論の授業で、毎週小レポートを出させている。A4の紙一枚に、教育に関連する新聞記事を貼り付けてコメントを書いて提出、というもので、まぁ、毎週それを一年間やっていれば私の講義がたいがいしょうもなくても学生さんたち的には勉強になるはずという作戦。しかも、学生さんたちを鵜飼いの鵜のようにあやつることによって面白いニュースを知ろうというダブル作戦でもある。
で、今日、おもしろいのみつけましたよと持ってきた学生さんのネタ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000000-maip-soci
いじめ 6倍の12万5000件 171人自殺
11月16日9時56分配信 毎日新聞
 全国の国公私立小中高校などで06年度に認知されたいじめの件数が12万4898件に上ることが、文部科学省の調査で分かった。昨年からのいじめ自殺問題を受け、今回はいじめの定義を変更し、対象も国公私立に拡大。公立だけを調査した05年度より6倍以上になった。自殺した児童・生徒は計171人で、このうち6人は「いじめ」が一因だった。校内暴力は4万19件で05年度より約1万件増加した。
 調査は全国の国公私立小中高校と特殊教育諸学校の計約4万校を対象に実施した。いじめの認知件数は▽小学校6万897件▽中学校5万1310件▽高校1万2307件などで、公立(11万9360件)だけで比較しても05年度(2万143件)より6倍近くになった。内容(複数回答)は「冷やかしやからかい」(66.3%)が最も多く、「仲間外れや無視」(25.4%)、「遊ぶふりをしてたたかれたりけられる」(18.2%)と続いた。インターネットのブログなどに住所や顔写真を掲載されるなどのいじめも5000件近く(3.9%)あった。
 いじめが認知された学校は全体の55.0%にあたる2万2159校。都道府県別の1000人当たりの認知件数が多い▽熊本50.3件▽福井36.2件▽岐阜30.1件などと、少ない▽鳥取2.1件▽和歌山2.5件▽福島・広島2.8件などでばらつきが大きかった。
 自殺者は、▽小学生2人▽中学生41人▽高校生128人で、理由(複数回答)のうち「いじめ自殺」は3.5%に当たる6人だった。このうち1人は名古屋市千種区の名古屋大教育学部付属高校3年生の女子生徒(当時17歳)と新たに判明。学校は「交友関係の行き違いと判断したが、保護者の指摘でいじめと報告した」と説明している。
 校内暴力は▽小学校3494件▽中学校2万7540件▽高校8985件で、全体の2割弱の学校で発生。調査対象に国私立を加えたこともあり、小学校と高校が05年度比で7割強も増えた。公立だけで比較しても約2割増加している。【高山純二】
 ▽いじめの定義 05年度調査までの定義はいじめについて(1)一方的(2)継続的(3)深刻な−−の3要件が示され、一つでも満たさない場合はいじめと判断されない例があった。99〜05年度のいじめを原因とする自殺はゼロだったため、「実態を反映していない」と批判の声が出た。これを受け文部科学省は06年度から「一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」などと定義を改めた。【高山純二】

最終更新:11月16日9時56分

というのと

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071115-00000135-mai-soci
<いじめ>調査精度に限界
11月15日21時29分配信 毎日新聞


 文部科学省が15日公表した06年度のいじめ実態調査では、いじめ認知件数の約1割が熊本県に集中し、都道府県別の1000人当たりの認知件数は、最大で24倍もの開きが出た。厳密過ぎた「いじめの定義」を緩やかにし、正確な実態把握を目指した今回の調査。予想通り件数は6倍近く増えたが、調査手法がバラバラだったり、徹底して調査していない自治体もあり、精度に疑問符がつく結果となった。【高山純二、山本紀子】

 ◇苦渋の文科省

 「調査の取り組みに差があるのは、否めない。限界がある」。いじめの割合が都道府県で著しく違ったことについて、文部科学省児童生徒課の幹部は苦渋の表情を見せた。

 いじめは熊本県福井県で突出して多い。今回の調査ではそんな奇妙な結果が出た。1000人当たり認知件数は、最多の熊本県が50・3件だったのに対し、最少の鳥取県は2.1件にすぎなかった。

 ◇現状把握に差

 熊本県は、県内から文科相に自殺を予告する手紙が届いた昨秋、小中高生全員にアンケートを実施。無記名で自由に記述させたところ、約3万人からいじめの訴えがあった。この数値を基にさらにアンケートや面談を行い、1万1205件のいじめを報告した。

 全国2位の福井県は昨秋以来2度、子供全員にアンケートを行い、現状の把握に努めた。同県教委は「数値が現実に近いものだと胸を張れる」と話す。

 これに対し、鳥取県は「他県より少ないというが、昨年より3倍に増えた」という。しかし、全校で行ったアンケートでは名前を記入させているため、被害を訴えにくい状況もあったとみられる。

 ◇聞き取りせず

 また、文科省は各都道府県に、調査する際、児童や生徒から直接聞き取りするよう指示しているが、3番目に少なかった広島県は「全校でアンケートをしているわけではない」、2番目の和歌山県も「教員が生徒とのかかわりで認知したいじめを報告した。個別にアンケートしたか把握していない」と説明。調査が徹底しておらず、実態を反映しているとは言えない。

 ◇統計にズレ


 また、文科省が公表した自殺者は171人だが、警察庁の06年統計では315人(小中高生)。統計の期間は文科省調査が4月〜07年3月、警察庁は06年1〜12月とずれがあるものの、その開きはあまりに大きい。

 文科省の担当課は「『自殺ではなく、事故扱いにしてくれ』という遺族もおり、この調査には主観が入り込む余地もある。警察庁の統計に挙げられていても、こちらでは確認できなかった案件もあった」と打ち明ける。カウントされなかった案件に「いじめ自殺」が潜んでいる可能性も否定できない。

 ▽河村茂雄・都留文科大教授(心理学)の話 05年に小中学生1万人弱を独自に調査した結果、いじめの発生率は小学校3.6%、中学校2.0%だった。「1000人当たりの認知件数」に換算すると20〜36件になり、文科省調査の全国平均8.7件はかなり少ない数字だと思う。しかし、都道府県によっては、小さないじめも把握して積極的に対応しようという姿勢が見られる。いじめは(1)人間関係のあつれきタイプ(2)遊びタイプ(3)非行タイプ−−の3段階に分けられる。非行タイプだけを把握するのではなく、人間関係のあつれきタイプから幅広く把握に努めるべきだ。それが深刻な問題を生む非行タイプのいじめの未然防止にもつながる。この意味で「1000人当たりの認知件数」が高い県を単純に批判するのは短絡的である。今後も、小さないじめを見逃さない「予防開発的」な視点を持ち続けていくべきだ。

【関連記事】 いじめ:6倍増の12万5000件 171人自殺
【関連記事】 いじめ:子ども重視の定義に

という記事が並んでいるのは妙なかんじだ、というの。
たしかにねえ。
ついでにこれもはりつけておこう。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071116k0000m040104000c.html
いじめ:子ども重視の定義に
 いじめの認知件数が前年度に比べて6倍以上増えたのは、いじめの定義を変えたほか、調査方法の変更が背景にある。

 文科省は従来「子供が『いじめられた』と訴えれば件数に数える」と指導していた。しかし、学校現場では、管理職や教員の評価に悪影響を及ぼしかねないことから、いじめの件数を報告しにくい雰囲気があるとされ、子供らの訴えが直接反映されていなかったと指摘される。このため、新しい定義では児童・生徒の側に立つという考えを強調し、「いじめ」と判断されにくい要因だった「一方的」「継続的」「深刻」の3要件を撤廃した。

 また、児童や生徒への調査方法については、いじめの有無を直接子供たちに聞くことを事実上義務化した。ほとんどの学校が個別面談(複数回答、77.8%)やアンケート(71.5%)、生活ノートなどの日記(55.5%)を取り入れた。

 さらに同省が重視するのは、いじめを認知した後の対応だ。調査では新たにいじめの加害者、被害者別の対応を聞いたほか、個々のいじめへの対応も調査した。「いじめが学校にあることは決して恥ずかしいことではない」と再三呼びかけ「認知−対応−解決」につなげるよう求めていた。

【関連記事】
いじめ:6倍増の12万5000件 171人自殺
いじめ:調査精度に限界
毎日新聞 2007年11月15日 21時31分 (最終更新時間 11月15日 21時39分)