『参加型ワークショップ入門』はよい本だが学生さんの教科書に指定するというかんじではない。でもいい本だ。ほんとは持っていて欲しい。ということについての21の理由。

参加型ワークショップ入門

参加型ワークショップ入門

1.開発教育にながねんたずさわってきた著者の経験がたっぷり盛り込まれている。
2.ので厚い。
3.値段は2800円で、お買い得なのだけれどもっと安い本のほうが学生さんたちはより少なくぶーぶー言う。
4.体験談が並んでいるのでよみやすいけれど、途上国の開発教育の話がもとなので、細かい例でアフリカの話とかでてくる。
5.読みやすい翻訳ではあるのだけれど、外国の人の書いた本の翻訳というのは、なんだか外国のドラマを吹き替えで見ているようなびみょうなかんじがある。
6.なので、親しみやすいコミュニケーションとかのはなしのわりに、ちょっと疎遠なかんじがつきまとう。
7.アイスブレイクやグループワークのゲーム・エクササイズ・アクティビティなんかが紹介されているのだけれど、この文章だけから再現するのはむつかしい。
8.マニュアルを目指して書かれていない。
9.本全体が21章に分かれていてそれぞれに21の項目が立てられているという構成は、とくに意味なくやってるということなんで、まぁ体系的に書かれているわけではない(体系的にならないことを目指してるんだろう)。
10.書かれていることの順序もなんとなく散漫なかんじがする。
11.なので、教科書っぽくない。
12.軽い冗談とか息抜きとか失敗談とかダメな話とかが適当に盛り込まれているので正直な感じがしていい。
13.盛り上がるワークショップとかパーフェクトなファシリテーターなんてやっぱり気味悪いよなぁと思っている人の気持ちがわかっているので信頼できる気になる。
14.むりやり21項目にしようとしてるために水増しみたいに見える項目もある。
15.参考文献が挙げられているけれどぜんぶ英語とかだ。
16.「フルーツバスケット」が「ジャングル(別名フルーツサラダ、野菜シチュー、魚のスープなど)」と書いてあったり、日本語で通用しているのとちがう。
17.たぶん、あるていどいろいろマニュアル的なものを読んでやってみて成功したり失敗したりひととおりした人が見ると思い当たることがあるだろう。
18.学生さんの教科書には「最初の1冊」となる本を選ばないといけないのでこの本は向いてない。
19.でも持ってて欲しい。
20.「はじめに」のところにバーナード・ショウの言葉が引いてあってさらに付け加えてあるのが気に入った。

教師としての訓練を受けたことがまったくない私が、ずうずうしくもこの本を書いた理由を説明しよう。私のキャリアの最初はケニアであったが、救いようのない行政官であり、管理官であった。世界中で行政に携わる能力のない人たちには4つたどる道がある。クビになる。悪さが目に付きにくい僻地に左遷される。評価担当部署に移動になる。そして他人を研修する担当になる。(・・・)私は新しく設立されたケニア行政研修所の訓練官に任命された。バーナード・ショーの言葉'He who can,does.He who cannot,teach'(できる人はやる。できない人は教える)に付け加えてみよう。'He who cannot teach,administers.'(教えられない人は管理する)、そして最後に'He who cannot administer,teaches administrators'(管理できない人は、管理官を教える)(Heという男性に偏った表現が用いられているが、ここでは歴史的に、そして経験的にも正しい)。

21.あとの理由はあなたが読んで発見しよう!(みたいなことを書いてあるのがわざとらしい)