『対話する力』『コミュニケーション力を引き出す』読んだ。

対話する力―ファシリテーター23の問い

対話する力―ファシリテーター23の問い

本屋で見かけて購入した。ふつうの分担執筆というわけでもなく、対談本というわけでもなく、1頁半ほどの文章を交互に並べているかんじ。リレーミニエッセイがつづくかんじ。なのであんまし読んでピンとくるかんじではなかった。対話ってそういうことじゃないだろう。一人がひとまとまりのことがらをわーっと喋って、それを受けてもう一人がまた自分の考えたひとまとまりのことがらをわーっと喋って、以下くりかえし、みたいな。そういうふうに見えちゃうんである。そういうのは、ちょうどこの本の中で、あんましよろしくないけれどそうなってしまう例っていうか、誰もが人の話を聞いてないで自分の言いたいことを考えて自分の番になったらわーっと喋る会議、みたいなふうに見えちゃう。けっこうこういう形式に編集するのって大変だと思うのだけれど、ちょうどちゅうとはんぱだと思った。
のだけれど、この本があるということのねうちというのがあるようだと思ったのは、「あとがき」を読んでなるほどと思ったから。

この企画は、妙な噂話がきっかけとなってスタートしました。ファシリテーションの世界には中野派と堀派があって、それぞれのシンパが反目しあっているというのです。それを聞いた二人は大笑いすると同時に、何か一緒にやって共通のメッセージを打ち出そうということになり、やがて出版の話へと発展していきました。

なるほどねい。
そういう噂っていうか見方って、本人および関係ない外野からは単なるアホに見えるのだけれど、とりまき集団ぐらいの範囲だと妙に切実にそういう見方をするってのはあるだろうね。
っていうか、噂なのか事実なのかもほんとはよく知らないしどうだってかまわないことなのだけれど。
あともう一冊

コミュニケーション力を引き出す (PHP新書)

コミュニケーション力を引き出す (PHP新書)

も買って読んだ。蓮行ってひとは、京都の劇団の代表の人で、団員がアルバイトをしないでも劇団で食っていけるビジネスモデルとして、企業や学校で演劇ワークショップをしてまわっている人なのだそうだ。なのでこの本は、蓮行って人のワークショップのプログラムの紹介が中心で、平田はその前とあとにチョコチョコと書いているというかんじ。
で、読んでどうだったかというと、うーん、演劇ワークショップっていうのがあってそれはなかなかおもしろいのだ、ということはそうなんだろうと思うけれど、たぶん、偉くなってしまった平田オリザ&ビジネス研修で商売をしている蓮行、という組み合わせでよけいそう思うのだけれど、なんか演劇必要演劇やればすべてオッケー、だから全国の食えない劇団をもっとビジネスコンサルと教育プログラムにご用命くださいみたいなトーンがはなについて好感度は低かった。
劇団ってのは(ていうか、楽団だろうが画家だろうがおんなじだろうけれど)、食ってけないわけで、そういう人たちが食ってけるような世の中ってのは文化的なんだろうし、文化的な豊かさってのが社会をよくするのがこれからの時代だ、ってのはそういうもんだろうと思うので、つまり劇団が食ってけるようなしくみができればいい、ってのはその通りだと思うのだけれど、それを、今こそビジネスパーソンのコミュニケーション力向上に演劇ワークショップを、わが劇団のプログラムを、みたいにされると、ちょっとしかしそれは我田に引水しすぎなのでは、と思ってしまうのである。