録画してたのをチェックしたらものすごい碁だった。BS解説が、解説の上手い王銘琬九段。しかし、対局中リアルタイムの解説では、しばしば絶句してた。そのへんが、両対局者がすごい世界でやってるってかんじがしてよかった。夜中に放送してたダイジェストでは、まさにその絶句してたあたりのおさらいをしていて、「コウの張」のおそるべき「コウに対する嗅覚」に舌を巻いてた。うーん、私は張名人ってあんましピンと来なくて、詰碁好きのあんちゃん(扇子に揮毫を頼まれると詰碁を描くという。筆でふにゃふにゃ碁盤目を描かれた扇子をもらっても扱いに困るだろうに)という印象しかなかったのだけれど、本局の王九段の絶句ぶりを見ていてなるほど強いのかな、と実感的に思った。でも、夕方の放送の段階で、しばしば絶句しつつ、きわめて微妙(微細、ではなく微妙、という言い方がまたいい)ながらどちらかが半目で勝つだろう、なんとなく黒が厚いだろう、という見かたをしてた王銘琬九段もすごい、っていうかトップ棋士っていずれにせよすごいのだなあと思うのである。
http://www.asahi.com/culture/update/0904/TKY200909040352.html
張名人、半目勝ちで先勝 囲碁名人戦七番勝負第1局
2009年9月4日21時4分
第34期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第1局は4日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌で2日目が打ち継がれ、午後7時31分、張栩(ちょうう)名人(29)が挑戦者の井山裕太八段(20)に304手までで黒番半目勝ちした。持ち時間各8時間のうち、残りは名人8分、挑戦者2分。第2局は16、17の両日、熊本市のホテル日航熊本で。
名人が果敢にコウを挑んで半目勝負に持ち込み、300手を超えた息詰まるヨセ合いを制した。2年連続となる注目カードの開幕戦は、ごく狭い幅の中で優劣の揺れ動く激闘だった。
中央白84(封じ手)から始まった2日目。1日目に名人の猛攻をしのいだ挑戦者は、手厚い白92のカケツギで盤の下半分に及ぶ戦いを収束させた。攻めにかけた名人の左下の損が大きく、この時点では検討陣は白有望の声が大きかった。だが黒93から上方に移った戦いで、名人は黒137と大きく地をまとめて追い上げ、左下黒163と切るコウ争いから混迷の終盤戦に持ち込んだ。名人は残りの持ち時間を終盤に一気に投入して勝利を引き寄せた。
解説の河野臨九段は「白がコウに備えた瞬間に黒163とコウを仕掛けたタイミングがすごい。これ以降はどちらが勝つか分からない、とても難解なヨセ勝負でした」と話した。(伊藤衆生)
○張名人の話 負けと思ったが、最後に勝ちになった。1日目は苦しく、盛り返してもなかなかよくならなかった。
●井山挑戦者の話 1目計算違いをしていた。終盤は形勢が細かいということ以外は、なにも分からなかった。
「ごく狭い幅の中で優劣の揺れ動く激闘」ってのがいいですね。