『インビクタス』見た。

学生さんに紹介されたのを見るシリーズ、というか、イーストウッドかぁ、やたら積んどくがたまってていつかまとめ見しなくてはなんだけどなあ、とかなんとかいいつつ。学生さんのセレクションの理由としては、スポーツと人種差別、といったところがテーマで、例によって学生さんはあらすじを、淀川長治ばりにファーストカットから説明してくれて、それを聞いた第一印象としては、これラグビー関係あるのか?という。いやまぁもちろん、これ事実に基づいてるんだろうから、ラグビーだったんだからラグビー、ということなんだろうけれど、しかしこれ野球でもサッカーでも要するに優勝して盛り上がりさえすればなんでもいいんじゃないか?という。いや、なんとなく見る前の想像としては、黒人白人混成チームがあれこれもめながら団結を強めていきますみたいなはなし、それがラグビースクラムだのパスだのなんだののチームプレイのあれこれを見せ場にして表現されたら、なるほどラグビーで人種差別を乗り越え、それがまた分断されていた国を一つにしたのだなあ的な、かんじになるのかとなんとなく想像していたのだけれど、まぁさしあたりそういうことはなくて、まぁチームは最初弱かったのがマンデラのカリスマに打たれたキャプテンのもとがんばって強くなって勝ちました、というおはなし。で、まぁ、じつのところ当時の南アフリカではラグビーは白人に人気、ということのようで、チームもほとんど白人であると。で、黒人はそれまで国の代表チームなんか嫌っていて、あれはアパルトヘイトの象徴であると。だからマンデラが大統領になって、ワールドカップ自国開催を目前に、スポーツ協会の中ではチームのユニフォームや愛称を一新しようなどという動きがあったのを、マンデラが演説して止めましたと。寛容になるべきだとかなんとか。なんかそのへんがまぁ「スポーツと人種差別」のはなしといえそうですね。学生さんとは、スポーツでも種目によって人種や階層に偏りがあるよね、みたいなことをだべっていて、たとえば、などといいながら世界ランキングのWebサイトで顔写真を見ながら、ほら、ほら、うーん、ほら、えー、等々、いっていたわけだけれど、まぁようするに人種とは何かというおはなしにもなってくるわけだし、ぼんやりした日本人の目から見て顔写真でこの人は白人、黒人、等々、じつはそんなに言い当てられないというか、顔写真を子細に確認してああだこうだ言っているうちに、なんだかめちゃめちゃ差別主義者が有色人種狩りを行っているような気分になってきてなんとなくやめるわけである。あと、イーストウッドってたしか共和党支持の保守ジジイなはずで、Wikipediaとか見るとオバマやヒラリーを食い止めたトランプ消極的支持みたいなことも書いてあったけれど、そのへんと、イーストウッドがけっこうマイノリティを登場させるよねということの関連やいかに、みたいなことはちょっと喋ってた。もちろん保守主義者がイコール差別主義的でなくてはならない理屈などまったくないので、そりゃそれでかまわんのだけれど。
でまぁそんなこんなであとから見てみたら、まぁ学生さんの説明してた通りの内容だった。意外とラグビー映画してたようにも見えたけれど、個人的にはラグビーいまいちわかんないというのもあるけど試合シーンで手持ちキャメラ?で撮るというのがぴんと来なかった。ラグビーというのはゴールライン目指してひたすら前進、阻まれても阻まれても突撃、しかもボールを前にパスするといけませんというのがキモなので、キャメラのアングルがぱっぱっと変わるとどちらが前なのか後ろなのかがひとめでわからないので、ラグビーラグビーラグビーしたプレイの特徴が消えるのではないか、みたいなこと。まぁ、かといって、NHKのスポーツ中継でもあるまいし、俯瞰固定アングルみたいにする必要もないし、まぁキャメラがフィールドの中にいることで、肉弾戦であるということは(ごつ、ごつ、という衝突音を大きく入れることとあいまって)伝わるわけではあった。まぁしかしそのへんは、ラグビー映画というのをあまり見たことがないのでわからんのだけれど、アメフト映画で『エニイ・ギブン・サンデー』のゲーム場面がそれっぽくてよかったという記憶はある。まぁそれはそれ。