『ひとり暮しの戦後史』。なるほどこれはいい本。学生さんが読むときはいろいろ調べながら読んでほしい。

例によってTwitterで見かけてよさげだなと思って、とくに学生さんに勧める新書本のリストを改定する時期でもあるので読んでみた、ていうか買ってから気が付いたけどこれ以前も買って研究室に入れてた。やっぱ買った本は読まなくちゃね。
で、これ、1975年の本なのだけれど、帯に曰く「半世紀前のこととは思えない、変わらぬ現実 女性がひとりで生きていくのは、なんと難しいことか!」とある。で、まぁそういう内容で、1975年時点で40~50歳台ぐらいの「独身中高年」女性に焦点を当ててアンケートやインタビューなどした調査がもとになってる。ということは終戦1945年時点で10~20歳代、ということで、戦中派というか、戦争の影響をいちばん受けて、「いちばん縁遠い」世代ということで、戦争中や戦後のドタバタのたいへんなときに一人で、あるいは家族を支えて働き、あるいは親たちの旧来の考え方から望む教育も満足に受けられずに、あれやこれやでひとりでいっしょうけんめい生きているうちに「独身中高年」になったという、そういうライフストーリーが何人も紹介される。で、しかし、なるほど「半世紀前のこととは思えない、変わらぬ現実」だなあ、と思わされたりもするわけで、これ、学生さんに勧めるといいかなあと思うのだけれど、しかし学生さんたちにとっては祖母世代を超えてへたすりゃ曾祖母世代ぐらいなかんじになるかもしれず、そうなるとほとんど時代劇の感覚かもしれず、書かれている用語もわからんのでは(かくいうわたくしも、「ゼロ号」は、まぁ字面から想像はついたけれどいちおう調べた)と思い、また逆に、なんとなくそれこそあまりに「半世紀前のこととは思えない、変わらぬ現実」なので、逆に「ふーん、そうなんだ」ぐらいに受け取られかねないかなあという危惧もあって、「ふーん、そうなんだ、でもちょっと古いかんじだな、今の自分たちは恵まれていてよかった、親に感謝したい」みたいになっても心外だなあとおもう。学生さんが読むときにはとくにいろいろ調べながら読んでくれるといいかなあと思った。