- 作者:河合 香織
- 発売日: 2021/04/08
- メディア: 単行本
いや、そのまえにTwitterのタイムラインで見たのが早かったか。
続き これが押谷仁が読んだレヴィ=ストロースと絡めて書かれたり、尾身茂の座右の銘の出典となる旧約聖書や小林秀雄が引かれ、そうした人文的なものが科学者たちの思慮深さに触れるような読み心地につながっていく。
— urbansea (@urbansea) 2021年4月8日
そう、尾身先生は旧約聖書から座右の銘をひき、押谷先生はダウンして入院中にレヴィ=ストロースを読んでいたのだった。かっこいい。これは読んでみなくてはと思うでしょう。
で、やはり前に読んだ『理論疫学者・西浦博の挑戦』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2020/12/12/132547)がすばらしかったように、本書もすばらしい。ていうか本書に西浦本も引用されていて、姉妹編というかんじもする。併せて読むべしという。
西浦本もそうだったけど、科学的専門性を社会に生かすために、行政や政治とかかわっていく仕組みが、この事態の中で、どのように実際に動き、どのような困難にぶつかりながらどのように機能して、しかしやっていくうちに困難の大きさがいよいよ見えてきて、自らそれを総括して「卒業論文」とともに解散ないし「発展的移行」して次のステップに進んだか、を描いている。で、基本的にすごく有能な人たちがたくさん登場してそれぞれの視点というのがあるのがわかりつつ、それがぶつかり合いながら、しかし基本的にすごく有能な人たちなのでなんとか物事が進んでいく感じ。HONZのレビューにあったとおり、登場人物のひとりひとりの個性が浮かぶ書き方がされている(個人的な感想としては、ひとり、うーんこの人がもうちょっとちゃんとした別の人だったらなあ…と感じた登場人物もいたけどそれは秘密)。そして、理想の上司感あふれる人たちの、グッとくる言葉とかふるまいが、やはり面白いわけである。