通勤電車で読んでた『ポストモーテム』。これはあくまでも糾弾ではないですよ糾弾ではないですよという。

あれ?この本、見たことあるな?と思ったら、
k-i-t.hatenablog.com
そっくりのデザインの本を同じ日経BPが出していたわけである。あのときは、まぁ、「平成のサグラダファミリアことみずほの新しいシステムが完成してめでたし」という構成になってたわけで、まぁしかしその後、ATMが利用者の通帳をつぎつぎと取り込んでいくという大規模システム障害をはじめ、金融庁の調査が入ったり業務改善命令が出たりしているさなかもあざ笑うかのようにシステム障害を出し続け、つごう12カ月で11回のシステム障害を発生させる。まぁ、だからこの本は日経BPの落とし前でもあるわけである。タイトルを直訳すると「検死報告」だけれど、まぁ、ITの世界だとこういう事後検証振り返りの報告をポストモーテムというのだそうな。他意はないのだろう。この本はみずほを糾弾するものではないと書いている。でもまぁ、わざとでしょうな。
さいしょに、システム障害でなにがおこったかをざっと報告してあって、そのあとに検証、となるのだけれど、やはりそのさいしょのところがとりあえずホラーコメディ的なおもしろさがあるわけである。じっさいにATMに通帳を飲み込まれてしまい、連絡電話もつながらず、その場にくぎ付けになって試験を受けられなかった人とかになったら悲劇なのだけれど、なんか銀行側の対応がいたってのんびりしているなかでATMが利用者の通帳をつぎつぎと飲み込んでいくみたいな情景、遠くから見た人々の人生はホラーコメディなわけであるね。ま、そして、そのあとの章で、視点がみずほの内部に入って、何が起こっていたのかを『カメラを止めるな!』よろしく辿りなおすと、まぁなんというか、うーん、となるかもしれないわけで、まぁしかしこの本はあくまでもみずほを糾弾するものではないわけである。重要なのは失敗から何を学ぶかだ。何かを学ぶことのできるような失敗をするのもなかなかたいへんで、ここから私たちに何を学べというのかと言いたくなる気持ちもでてくる読者もあるかもしれないけれど、しかしみなさん、わたくしたちはあんがいこのていどなのですよ、ということなのだろうね。以て他山の石とすべし。

ちなみにこの本を読んでる最中のちょうど一昨日の東京日報のインタビュー記事。きのうTwitterで炎上しているのを見かけた。
www.tokyo-np.co.jp
この記事はけっこうな意図をもって書いてるように見えるね。いやまぁいろいろとなんというかいろいろたいへんだなあ。