『コロナショックと昭和おじさん社会』読んだ。タイトル通りのおはなし。学生さんに勧める新書の候補(微妙に保留)として。

新年度に向けて、学生さんに勧める新書本のリストを改定すべしの時期である。書店に行く。3冊新書を買ったけれど、学生さんに勧めるという見地からいうとそのうち候補は一冊か、ギリもう一冊か。
で、これ、タイトル通りの本。あるいは帯に「結局、日本は40年前のままでした。/社会の矛盾は今後どうなる?」という惹句が大書されていて、まぁその通りの本。新書といっても日経プレミアシリーズで、著者のひとが長いこと連載している「日経ビジネス電子版」のコラムをまとめ直したもので、まぁだからコロナそのものの話というより、その前からずっとの話、というか、この本のタイトル通り、日本は昭和おじさん社会として40年変化しそびれて今に至ってコロナでようやくパンドラの箱のふたが開いた、今の問題はずっとあったはずの問題なのだ、というすじがき。
で、これ読んでやはりわかりやすくて、まぁ日本社会の問題というのをベタに簡潔に書いているので、まぁそのいみでは学生さんに勧めようかなあとも思うのだけれど、まぁしかし、ものすごく前のめりかというとそうでもなくて、というのも、いまの令和の学生さんには「昭和おじさん社会」という言い方そのものがたぶんリアリティがないし、まぁいろいろと社会の矛盾について書いていてもたぶんヤングのみなさんには「批判が強すぎて少し不愉快」みたいな印象を与えるかもしれない。この船は沈むぞ、一部の昭和世代エリート連中のせいだ、みたいなはなしを、「日経ビジネス」読者のおじさんたちが読むならまだしも、ヤングのみなさんが読んでどう思うか、ひょっとして、そんなはなしをされても困る、もっと生き残るハウツーの話をしてくれないと意味がない、みたいな世代的感覚があるかもしれない、等々。なのでちょっとペンディング寄りのおすすめ。