指導力不足は566人 問題教員、依然多く

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050809-00000090-mai-soci

04年度中に「指導力不足」とされた公立学校の教員は、全国の58教育委員会で計566人(前年度比85人増)に上り、00年度に認定が始まってから最多を更新したことが文部科学省の調べで分かった。わいせつ行為やセクシュアル・ハラスメントで処分された教師は前年度より30人減ったが166人で、「問題教員」が依然多いことが浮き彫りになった。
 都道府県と政令市の計60教委を対象に調査した。指導力不足を認定する「人事管理システム」の運用を一部の教委が始めた00年度には65人だったが、全教委でシステムが整った04年度は566人。年代別では、40代が50%、50代が34%と大半を占め、学校種では小学校が49%、中学校が28%、高校が15%だった。横浜市の27人が最も多く、次いで千葉と三重県が25人だった。指導力不足を理由に研修を受けた人数は377人に上った。うち93人が依願退職し、127人が現場復帰した。
 校長・教頭など本人からの申し出で「希望降任」したケースは前年度比15人増の81人。教頭から教諭への降格が88%を占めた。
 最初の1年間(条件付き採用期間)を経て正式採用に至らなかったのは80人増の191人で、内訳は、不採用7人▽依願退職172人▽死亡5人▽懲戒免職4人――など。依願退職のうち61人が精神疾患など病気によるもので、死亡のうち4人は自殺だった。
 指導力不足教員の増加について、文科省は「人事管理のシステムが整い、認定への取り組みが強まったことが大きい。隠されていたものがあぶり出されるケースが増えた」とみる。
 また、わいせつ行為とセクハラによる懲戒処分数は139人(免職95人、停職30人、減給9人、戒告5人)で、訓告や諭旨免職を含めた処分数は166人。30代が59人(35.5%)で最も多く、40代が51人(30.7%)、50代が33人(19.9%)だった。同一教委の管内で過去にもわいせつ行為を行ったことがあるとみられる教員が15人(9%)いることも分かった。被処分者の所属する学校種は、高校48・8%▽中学校31.9%▽小学校15.7%で、相手は「自校の生徒」が77人(46.4%)で最も多かった。【千代崎聖史】
 【ことば】指導力不足教員 各教委が「児童・生徒に適切に対応できないため、人事上の措置を必要とする者」などと独自に定義して認定する。(1)「子供の質問に答えられない」など教科の知識や技術が不足(2)「難しい授業ばかりする」など学習指導が不適切(3)保護者らと信頼関係を築けない――を指針に挙げる教委もある。医師、弁護士、保護者らで構成する判定委員会で認定する教委が多い。研修後も改善されないと、地方公務員法上の分限処分(免職、降任、休職)を科される場合がある。本人の同意なしに教職を解き、別の職場に転任させることも、地方教育行政法の改正で02年1月から可能になった。
毎日新聞) - 8月9日20時48分更新