「オタク」は172万人=市場規模4110億円−野村総研

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051006-00000090-jij-bus_all

野村総合研究所は6日、強いこだわりを持つ分野に対しては可能な限り金額を注ぎ込む、いわゆる「オタク」の実態と商業的価値に関する調査結果を発表した。コミック、アニメーション、鉄道など12分野でオタクは172万人に上り、市場規模は4110億円に達すると推計。「萌芽(ほうが)期の商品の市場が拡大するかは、オタク層にどう評価されるかがポイント」とその影響力の大きさを強調している。 
時事通信) - 10月6日17時1分更新

もと記事。

http://www.nri.co.jp/news/2005/051006_1.html

マニア消費者市場を新たに推計、04年は主要12分野で延べ172万人、
4,110億円規模
〜「オタク層」を5タイプに分類、マーケティングフレーム新「3C」も提案〜


2005年10月6日
株式会社野村総合研究所

                                                                                                                                                              • -

 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下NRI)はこのほど、国内のマニア消費者層(いわゆる「オタク層」)の実態とビジネス的価値に関する調査研究を、アニメ・コミックなど主要12分野について行いました。インターネットによるアンケート調査(2004年8月実施、10,003サンプル)をベースにオタク層の市場規模を分析したところ、2004年は12分野全体で延べ172万人、金額にして約4,110億円に達したと推計できました(下表参照)。さらにNRIでは、オタク層特有の消費行動・心理特性を6因子からなる5タイプに分類、それらの特性を企業のマーケティングや商品開発活動、産業ライフサイクルへ生かす方法を提案します。


国内主要12分野のマニア消費者層の2004年市場規模推計
分野 人口(注1) 金額(注2)
コミック 35万人 830億円
アニメーション 11万人 200億円
芸能人 28万人 610億円
ゲーム 16万人 210億円
組立PC 19万人 360億円
AV機器 6万人 120億円
携帯型IT機器 7万人 80億円
自動車 14万人 540億円
旅行 25万人 810億円
ファッション 4万人 130億円
カメラ 5万人 180億円
鉄道 2万人 40億円
合計 延べ172万人 4,110億円

(注1) 各分野の人口は重複もあるため、合計は延べ人数
(注2) NRIのインターネットアンケートによってわかった、1人当たりの1ヶ月の平均消費額をベースに、業界ヒアリング、関連文献調査などから算出



オタク層の行動原理6因子と新たな「オタク像」5タイプを提示
 NRIの調査では、これまでさまざまな視点から論じられてきた「オタク」を、消費社会における普遍的な現象ととらえ、できるだけ客観的に分析しています。これにより、従来よりも幅広いイメージを内包した、新たなオタク像が浮かび上がりました。前述のアンケート結果からオタク層に共通する行動・心理特性を抽出したところ、「共感欲求」「収集欲求」「顕示欲求」「自律欲求」「創作欲求」「帰属欲求」という6つの因子にまとめられました。この因子をもとに分析を行ったところ、回答者全体の3.6%がオタク層であり、6因子の強弱のバランスなどから、「家庭持ち仮面オタク」(オタク層と定義された回答者の25%)、「我が道を行くレガシーオタク」(同23%)、「情報高感度マルチオタク」(同22%)、「社交派強がりオタク」(同18%)、「同人女子系オタク」(同12%)の5タイプに類型化できました(図表1)。


オタク層のマーケティングフレームは新「3C」
 強くこだわりを持つ分野に対して可能な限りの金額をつぎ込むオタク層は、企業のマーケティング戦略上無視できない存在です。一般的な企業のマーケティングフレームに「4P」(Product:製品、Price:価格、Place:販売チャネル、 Promotion:プロモーション)がありますが、それに加えてNRIは、オタク層の消費特性をふまえた新しいマーケティングフレームとして、以下の新「3C」を提唱します。これらの要素は、NRIが調査した12分野のオタク市場に全て備わっており、オタク市場向けをはじめ、一般のマーケティング戦略構築の一助としても応用が可能です。

・ 収集 (Collection):商品やサービスにコレクション要素を付加することにより、継続的な消費を促す
・ 創造 (Creativity):改造や使いこなしの余地のある商品を投入し、ユーザの消費活動において創造性を発揮する場を提供することにより、商品への愛着を強める
・ コミュ二ティ(Community):情報交換や情報発信、自己の創造活動を発表する場を提供することにより、消費活動を促進する
 
 
 
以下略おもろすぎ。

関連記事

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0412/21/news017.html
2004/12/21 09:01 更新



“オタクマーケティング”の時代到来?――NRIに聞く「オタク市場の力」 (1/2)
オタク市場は来年どうなる?――オタク市場を調べあげ「もはやニッチではない」と宣言した野村総研に、オタク市場の展望や、オタクに物を売る秘けつや“オタクマーケティング”の可能性を聞いた。

 「オタク市場はもはやニッチではない」――8月、野村総合研究所NRI)がオタクにフォーカスした市場調査結果を発表。オタク市場規模はデジカメ市場を越える2900億円に上ると結論付けた(関連記事参照)。

 NRIがなぜ今、オタクを調査したのか。オタクが日本経済に与えるインパクトとは何か。調査を担当したNRIの情報・通信コンサルティングニ部の北林謙副主任コンサルタント、守岡太郎副主任コンサルタント、小林孝嗣上級コンサルタントと、同一部の塩野正和さんに話を聞いた。




北林謙副主任コンサルタント(左下、ゲーム、コミック、旅行担当)、守岡太郎副主任コンサルタント(右下、組み立てPC、携帯型IT機器担当)、塩野正和さん(左上)、小林孝嗣上級コンサルタント(右上、アイドル、アニメ、AV担当)

参考文献:2ちゃんねる
 オタク調査の目的は、アニメやゲームなど、国内外で大きな注目を浴びているコンテンツ産業の実態を解明すること。同部の研究員ほぼ全員が「オタク分野に少なからず身に覚えがある」(北林さん)ことも、調査開始の強力なドライブになった。

 調査は、オタクという言葉からすぐに連想される分野――「アニメ」「アイドル」「コミック」「ゲーム」「自作PC」――の5つをまずカバー。研究員はそれぞれの得意分野を担当した。

 分野の選定には、アンケートや「2ちゃんねる」のスレッドカテゴリー、スレッド数も参考にした。調査は今後、車やAV機器、鉄道、旅行、ファッションといった分野にも広げ、結果を順次発表する計画だ。

「オタクは理想像を追求する」
 オタクの定義は難しい。「ここからがオタクで、ここからは違う、という決まった点はない」(小林さん)。共通項をあえて出すとすれば、時間とお金の費やし方だ。可処分時間/所得のうち、対象物に費やす割合が極端に高い人がオタク、というわけだ。

 調査から、オタクは「理想像を追求する『情熱』『消費』『創造』のスパイラル」と位置付けた。「こうあるはずだ」と思う究極の商品――PCやアニメキャラ、想像上のアイドルなど――を理想化し、探求するのがオタクを突き動かすエネルギーだという。

 理想追求の情熱が消費エネルギーになるため、価格は二の次。高価だったり、限定された時期・場所でしか手に入らないなど購入のハードルが高くても、惜しみなく投資する。理想像に近づき、思い入れが激しくなればなるほど消費のスピードも増し、どんどん深みにはまっていくという。

 オタクの消費エネルギーは、経済力ではなく情熱をベースにしているため、景気変動の影響を受けにくい。コンテンツやハード市場を下支えする安定した市場をオタクが形成しているという。

「オタク市場に物を売りたければ、オタクになるしかない」
 オタク層を固定客として取り込み、高価な商品を継続的に買ってもらいたい――そう考える企業もあるが、同市場を安易に狙うと落とし穴にはまる。「オタクは敏感。オタクでない人が、『オタクはこれでも買うだろう』と安易に作った商品は、反感を買う」(守岡さん)。

 ただ、オタク狙いの商品であっても、同じオタクが手を抜かずに作った質の高い商品は尊敬・共感され、受け入れられるという。その例が、英単語集「もえたん」や、オタクを題材にした漫画・アニメ「げんしけん」だ。

 「もえたんは、オタクが手を抜かずに作ったから受け入れられた」(守岡さん)。「げんしけんは、オタクが『イタイ』と言いながらも見ているアニメ」(小林さん)――げんしけんは、明らかにオタクをターゲットにしていながら、共感やリスペクト、郷愁を感じさせる作りになっているためヒットしていると、小林さんは分析する。

 「オタク市場に物を売りたければ、オタクになるか、オタクのフリをして決してボロを見せないことが必要」(小林さん)

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“オタクマーケティング”の時代
 オタク層を「市場」と見た場合、高い購買力に加え、マーケティング面での魅力もある。オタクが新製品を受け入れる能力は並外れて高いためだ。

 「ITの進歩は早すぎて、一般の人は新商品を理解できない」(北林さん)。IT関連の新商品について一般の人にアンケートやモニター調査しても「分からない」「いらない」という答えが返ってくるばかりだという。

 一方、オタクは新技術を一番初めに“自発的に”試してフィードバックしてくれる。例えばデジタル家電の本命に成長したHDDレコーダー。これはアニメやアイドルの動画を保存したいオタクが、自作PCにチューナー&キャプチャーカードを組み込んでレコーダー化したのが起源とも言える。

 先端的な商品は、まずオタク市場に先行投入し、消費の仕方を観察。その後、一般コンシューマー向けの改良を加えてマス市場に投入する――こういったマーケティング手法が、実効性を持ち始めたという。

 “オタクマーケティング”で重要なのは、オタク独自のアレンジやパロディーを推奨することと、ユーザー間の情報交換を奨励すること。オタクがどの点を受け入れ、どの点に不満を持ったかをよく観察することが、次のヒット商品の芽を見つけることにつながるという。

ネットがオタクを増やす?



コミケに一時の勢いはないと指摘されるもの、数十万人が訪れ莫大な金が動くことに変わりはない

 「ネットがなかった時代は、地方に住む人はカメラオタクになれなかった」(塩野さん)。オタク市場確立の大きな要因は、インターネットだという。ネットショッピングやオークションで、どこに住んでいてもレアアイテムが手に入る時代。オタクのハードルは大きく下がった。

 ネットによるコミュニケーションも、オタクが“深みにはまる”要因だ。ニッチな分野でも、ネットなら簡単に共感者を見つけられ、掲示板やメール、チャットなどで手軽に情報交換できる。コミュニケーションを通じて刺激し合いながら、どんどん深みに引きずり込まれていくというサイクルができているという。

 「オタクの増加率が高いのは、ネットに親和性の高い分野」(守岡さん)。ゲームやアニメ、PCといった分野のオタク人口が伸びている一方、ネットユーザーがそれほど多くないと考えられる、切手や鉄道といったクラシカルなオタク分野は、目立った伸びは見えないという。

 数十年前と比べて生活が豊かになり、購買力があがったことや、商品ラインアップが増えたことも、オタク人口増の要因の一つだ。

 「以前も『サユリスト』と呼ばれる吉永小百合さんファンなど、アイドルオタクに近い人はいたが、彼らはオタクになれなかった」(守岡さん)。経済力が上がったのに加え、数万円するDVD BOXなど高価なマニア向け商品が流通し、買うべきものができたことが、オタク市場形成に一役買っている。

オタク市場はふくらむか?
 オタク市場がふくらむかどうかはわからないと、研究員は口をそろえる。ただ「オタク市場への新規参入は少ない」(小林さん)ため、急激に増えることはなさそうだ。

 例えばアニメ分野の場合、各作品のオタクが地層のように重なり、交わることは少ない。1stガンダム世代(30代)、ドラゴンボール世代(20代)……と、一定の世代がある層を作り、次の世代は別の層を築く。

 加えて、少子化が進んでいるため、新しくオタクになる子どもの母数が減りつつある。オタク市場全体の先行きは決して明るくない。

 ただ、親子でそろってアニメを見たり、親がコミケに子どもを連れて行くなど、世代を超えた交流も始まりつつある。また、1分野のオタクになった人が、他の分野に手を出すことも多い。オタク層が増え、市場が広がる可能性も、決して低くはないようだ。