勤務実態調査:先生はなぜ忙しいの?−−県教委、全国初の調査 /群馬

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20051023ddlk10040118000c.html

◇指導の時間、取れない…

 先生たちはどれだけ時間に追われているのか−−県教委は11月から、県内の小中学校の教諭、教頭、校長を対象に勤務の時間やその内容についての調査を実施する。研修や事務書類の作成など、教員たちは児童・生徒の指導以外の業務を多く抱えている。「問題点をあぶり出し、子どもと接する時間が増えるよう改善できれば」。アンケートなどの意識調査ではなく、実際の勤務状況をきめ細かく調べる調査は全国でも初めてという。【杉本修作】

 「小中学校では事務員の数が少なく、教員が細かな学校運営の業務まで分担させられている」。前橋市の中学校に勤務する20代男性教諭は明かす。「空いてる時間があれば、もっと家庭訪問や面談を増やしたい。でも、現状では厳しい」

 文部科学省が全国の小中学校などを対象に、今年春、実施した義務教育意識調査によると、教員(校長、教頭を除く)の95%が「職務が常に忙しい」または「時期によって忙しい」と回答した。理由は「一人ひとりに応じた学習指導が以前より求められるようになった」という回答が最も多かったが、「作成しなければならない事務関係書類が増えた」「保護者や地域住民への対応が増えた」「教育委員会や管理職からの指示・伝達が増えた」など、子どもを直接指導すること以外の業務が増えたことへの不満も目立った。

 県教委が今回実施する調査は、こうした先生たちの「多忙感」を正確に把握しようという試み。年齢、性別、勤務地などあらゆる条件を基に対象となる教員を抽出し、個々の勤務時間、勤務内容などを調査する。実情を正確につかむため「調査員が対象者の後ろをついて回ることまでやりたい」(県教委総務課)という。

 さらに、結果を分析したうえで、来年度から校内外の会議、研修、事務処理などを抜本的に見直し、学校運営の改革に着手する方針。県教委の内山征洋教育長は「まず、何が原因で忙しいのか把握するのが重要。問題点があれば改善し、放課後の補習など、直接子どもたちに接する時間を増やしていきたい」と話している。

毎日新聞 2005年10月23日