「中学生はこれを読め」 書店主が推薦リスト、全国波及

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「中学生はこれを読め」 書店主が推薦リスト、全国波及
2006年05月06日15時41分
 札幌の本屋のオヤジは気がついた。「最近の中学生は本を読まないと言うが、うちには彼らのコーナーがなかった」。オヤジは500冊のお薦めをリストアップし、専用の棚を作って、こんなキャンペーンを始めた。「本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!」。それから1年半、おせっかいは全国に広がっている。
 札幌市西区で「くすみ書房」を経営する久住邦晴さん(55)が04年8月に始めた。リストには、定番の夏目漱石太宰治のほか、石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク」、あさのあつこの「バッテリー」など新しい作品も並ぶ。
 持ち帰りできるリストを店に置き、推薦本に共通の帯を巻く。この試みが各地の書店で注目を集め、北海道では街の小さな本屋からチェーンの大型書店まで60店、静岡では130店が参加。愛知は10月から約100店で展開する見通しになった。
 中学生は本屋に来ない。だから中学生用のコーナーがない。久住さんは、その発想を逆転させた。顔見知りの常連も出てきた。それ以上に大人が関心を示した。リストを手にした親や教師から、「お薦めは」と聞かれる。子どもの読書量や性別を聞き、「じゃあ、これとこれ」と選ぶ。
 全国に広がるきっかけは、講談社が主宰し全国370店が参加する「書店未来研究会」の北海道、東海の合同支部会が昨年9月札幌で開かれたことだった。岐阜市にある自由書房の篠田元弘社長(61)が会場に向かうタクシーの中、運転手から「小さいけど面白い本屋がある」と聞きつけた。会場で聞くと「久住さんに違いない」。翌日、仲間が、くすみ書房に足を運んだ。
 札幌での話を聞きつけた愛知県書店商業組合理事長で豊川堂(豊橋市)を経営する高須博久さん(55)は理事会に諮り、県内での展開を決めた。「自分のお薦めを独自に加えたい」という。「論語」やジイドの「狭き門」なども、ぜひ読ませたい。「将来の読書人口を増やすためには種まきが必要だ」
 静岡県藤枝市の藤枝江崎書店の江崎直利社長(49)は、県書店商業組合が昨秋、参加店を募る前から知っていた。ネットで検索し「これ読め」のホームページ(http://www.k2.dion.ne.jp/~sa-shibu/)に出くわしたからだ。リストを印刷して店に置き、学校に配ると好評だった。出版社の提案ではなく、自ら仕掛ける企画は初めて。「とかく暗くなりがちな業界にあって、勇気をもらった」と話す。
 久住さんのところには、青森県群馬県の中学校や図書館からも「使わせてほしい」とのメールが来る。「これをきっかけに、児童書と一般書の中間のジャンルが定着してほしい」と言う。
 500冊の推薦リストは今夏、北海道新聞社がブックレットとして出版する予定だ。
    ◇
「中学生はこれを読め!」のリストから
笹山久三四万十川 あつよしの夏」
ミヒャエル・エンデ「モモ」
阪田寛夫「まどさんのうた」
手塚治虫火の鳥
橋本治「桃尻語訳 枕草子
岡本文良植村直己・地球冒険62万キロ」
村上龍13歳のハローワーク
金城一紀フライ,ダディ,フライ
R・フリードマン「ちいさな労働者」
松江哲明「あんにょんキムチ」
ジョン・シーモア「完全版 自給自足の本」
S・キング「ゴールデンボーイ
三浦綾子塩狩峠
宗田理ぼくらの七日間戦争
辺見庸「もの食う人びと」
中島義道「うるさい日本の私」
向井万起男「君について行こう」
乙武洋匡五体不満足
重松清「半パン・デイズ」
さそうあきら「神童」
河野美香「学校で教えない性教育の本」
吉岡忍「奇跡を起こした村のはなし」
夏目房之介「マンガはなぜ面白いのか」
U・K・ル=グウィンゲド戦記
宮沢賢治銀河鉄道の夜
五味太郎「大人問題」
さくらももこまる子だった
吉本ばなな「キッチン」
小林紀晴「アジアン・ジャパニーズ」
大平光代「だから、あなたも生きぬいて」
ビートたけし「少年」
中原中也中原中也詩集」
茨木のり子「倚りかからず」
J・R・R・トールキン指輪物語
りぼん・ぷろじぇくと「戦争のつくりかた」
養老孟司「バカなおとなにならない脳」
森本哲郎「生き方の研究」
大塚英志「物語の体操」
川崎洋「ことばの力」
サンテグジュペリ星の王子さま
中沢啓治はだしのゲンピカドンを忘れない」
マーガレット・マーヒー「めざめれば魔女」
永六輔「職人」
柳美里「水辺のゆりかご」
魯迅「阿Q正伝・故郷」
今西祐行「肥後の石工」
宮脇俊三「増補版 時刻表昭和史」
斉藤孝「声に出して読みたい日本語」
内田樹「先生はえらい」
萱野茂アイヌ ネノアン アイヌ
(注)2005年のリストから(順不同)。今後150冊ほど入れ替える予定

で、その下に、

この記事の関連情報
「これ読め」のホームページ(http://www.k2.dion.ne.jp/%7Esa-shibu/
出版・書籍のニュースはBOOKアサヒ・コムでも

っつのが笑った。
それはともかく、
本屋さんというのはおもしろそうな商売だと思う。趣味と品揃えで勝負、みたいなことが成立する可能性があると思う。そういいつつ頭の中にイメージしている、自分の好きな本屋さんというのがいくつかあって、欲しい本が夢のように揃っていて、不愉快な表紙を見ることがない、という。そういう店作りをして、しっかりとお客をキャッチすることができれば、本屋さんってすごくやりがいがあるやろうなあとおもう。
で、それはそうなんだけれど、ですね、
逆にいうと、自分の好きな本を人に薦める(読ませる)っていうのは、本質的に、楽しいことの部類に入るわけですよ。
よのなかでwebなど使ってブログなるものを書いている人たちが何をやっているかというと、時間や手間や、いくばくかのお金までかけて、そういうことをやっとるわけです。自己愛をみたしとるわけです。
そういう、だれもがやりたいことを、あからさまにお金を取ってやっていいのか。
お金を取るに値するようなプロフェッショナルな選書というものが、このリストにあるのか。
というところにですね、ひっかかりをおぼえる。
こういうリストでも何でも、どんどんやって、本屋さんがどんどんおもしろくなればいいとおもうけれど、
こうして具体的なリストが出てくると、そこに表現されている店主の趣味とか自己愛については、ふうん?という気持ちになる。
たぶん、もっと私の趣味に合致する店が隣にできて、そこがもっと趣味のいい、中学生がほんとに趣味のいい本好きになるようなリストを作ってばらまけばいいのではないだろうか。
そういうことですよね。