学芸員を格下げ? 博物館充実へ文科省が資格見直し

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06.11.28 17:55
学芸員を格下げ? 博物館充実へ文科省が資格見直し
 生涯学習や地域づくりの拠点として博物館を充実させるため、50年以上前に制定された博物館法の見直しが始まった。資料の収集や保管、調査研究する学芸員の底上げのため、現行資格を「学芸員補」に格下げする案や、経験を積んだ「上級・専門学芸員」新設も考えられている。学芸員資格につながる履修課程を持つ大学などから反発も出そうだ。
 学芸員資格の改正は、文部科学省の「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議」(座長=中川志郎・茨城県自然博物館名誉館長)が打ち出した。今年度中に議論をまとめ、法改正に向けた検討に入る予定だ。
 学芸員資格は、学士の学位と博物館に関する12単位の科目履修や国家試験などで得られ、毎年約1万人の資格者が誕生している。博物館や美術館に就職できる人はごくわずかで、大学関係者が「資格は与えるが、学芸員の養成はしていない」というほど。フランスや英国などの類似資格に比べ、権威や実務経験に大きな差がある。
 検討会議は(1)現行の学芸員学芸員補に格下げする(2)学芸員になるには5年以上の学芸員補経験や修士号取得、国家試験合格といった条件を設ける(3)10年以上の学芸員経験、実績や研修、国家試験による上級・専門学芸員を新設する、を柱とする案を議論中だ。
 実務経験などの重視で学芸員を「在るべき姿」に近づけたいとの意見が多いが、現在200近い大学が学芸員養成課程を置いており、「学芸員補にすると混乱が起きる」との声も出ている。