このところ読んでいたもの。『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』『ナボコフ 訳すのは「私」』。ついでに映画『ロリータ』。

書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ Revising Nabokov Revising

書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ Revising Nabokov Revising

ナボコフ 訳すのは「私」―自己翻訳がひらくテクスト

ナボコフ 訳すのは「私」―自己翻訳がひらくテクスト

少し前に、書店でナボコフの研究書らしきものをみかけて、そういうのもまた出てるのかと検索してみて入手。『書き直す』のほうは、日本で行われた学会の成果のようである。そこにも書いている若い人の博士論文が『訳すのは「私」』のほうで、ナボコフがロシア語と英語の二言語作家で、自作を自己翻訳していたところに注目して、翻訳論みたいな切り口から作品をていねいによんでいくみたいなはなし。第六章の「樹影譚としての翻訳論」というのが、まさかの感動的。
で、録画済み未見だったリメイク版『ロリータ』も勢いに乗って見てみた。
170299102

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まぁしかしこれはやっぱりたんなるロリコン映画(文芸風味)になっていたような。
キューブリック版と比べようかと思いはしたけれど、手元の古いVHSを見直してがっかりするのもあれなのでやめた。しかし、キューブリック版にはナボコフ本人が参加しているとか、怪優ピーター・セラーズがクレア・クィルティ役をやってるとか、まぁ監督がキューブリックであることとか、ちょっとポイント高そうな要素がやはりあるわけで、たしかもう少し、もったいぶった文芸風味はなくて(だいいち、もともとそういうのをコケにするのが趣旨の小説である)、ピーター・セラーズの七変化が謎解きの伏線になってるかなんかだったようなおぼろげな記憶がある。やっぱ見直すかなあ。
ロリータ [DVD]

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見直した。VHSの画質が思ったほど劣化してなかったのがなにより。やはりだんぜんこっちのがよくて、文芸風味がなくて正しく通俗映画にしてるところ。