- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/13
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 93回
- この商品を含むブログ (78件) を見る
文体がいわゆる個性的で、町田康のクローンで関西弁アピールで女アピール椎名林檎クローン、というあたりかなあと思いながら読んでた。歌手をやっていたときの、公式サイトのweb日記?の文章で、長短取り混ぜ日付順にだらだらと並んでいる。自分の容貌にコンプレックスを持たなくて済む程度の外見の女子で、そういう文章のなかでやれ生理がどうだ、最近風呂に入ってないだ、やれ彼氏とドロドロしただ、男に殴られただ、書きたがる人っているよねえ、で、基本そういうアピール感あふれる文章で、じぶんがもしネットでこういう文章を見かけたら、よもやその書き手が後年、芥川賞を取ることになるとは思えないっていうかやるなよっていうか、でも芥川賞ってそういう路線に活路を見出そうとしてるよねえ、活路になると思ってるんだろうねえ、っていうかそういうかんじの感想をもったであろう、というかんじ。
なのだけれど、繰り返される貧困話、生まれた家が貧乏で、親がDVで、というはなしもまぁ、ありがちなのだけれど、けっこう熱心にそのへんを繰り返し書いていて、その「私、こう見えて生まれが不幸なんです」アピールには、まぁ嘘でもないだろうなというかんじはある。あとそれより、「サボコ」というサボテンがときどき登場して、そこはよかった。
ていうか、ブックオフで300円なりのところをセール250円で買ったのだけれど、読んでみたら線が引いてあって、それがまるで卒論にでも使ったような(!?)、どの項目からどの項目までが著者何歳のときであるかとか、何歳の時に何項目書いていて、この期間には3日に1回の頻度で書いているだとか、いろいろ書き込んであって、なんだこりゃと思う。で、線が引いてある個所というのがたとえば
「寝巻のままで行く」
「二十八歳の体は老いている」
「お風呂に浸かるパワーがないので」
「最近、すごい毎日、人を殴り続ける夢ばっかり見ている」
「けっこう親しい友人が今年連なるように結婚をするらしく」
とかそんなかんじで、これはどういう卒論になったか容易に想像がつく。